ぽれぽれ経済学

デジタル人民元と中国

2023年5月4日

中国のデジタル人民元

中国はアメリカに次いで世界2位の
経済大国であることは皆さん
よくご存じかと思います。

その中国では
自国のお金「人民元」の
デジタル化に力を入れています。

日本も研究を重ねていますが
まだ実験の段階ですし
発行するかどうかも
決まっていません(2023年現在)

「中国がお金のデジタル化を進めているから、
当然、日本も進めなければいけない」
ということは全くありませんし、
逆に反感を感じる方も
いらっしゃるかもしれません。

けれど、
通貨のデジタル化は世界的な流れです。
ここで日本だけが鎖国のように
何もしないでいては、
日本の国民である皆さん自身が
「円」を使わなくなって、
「円」以外の新しい便利な
お金を使うかもしれません。

皆さんも、ポイントが付いたり
サービスがよい
「電子マネー」や
「クレジットカード」を
使っていますよね?
私たちは選べます。
便利なほうへ人が向かう流れは
止められません。

ここでは
世界の中でもデジタル化の進んでいる
中国のデジタル事情をみていきます。
中国ではデジタル人民元普及のために
たくさんのお金が無料で
ふるまわれています。

日本でも同じように「デジタル円」を
無料でふるまわれる日が
来るかもしれません。

いざというときに
現金にこだわらず
お得な選択ができるように
今から「デジタル通貨」の
知識を入れておきましょう。

デジタル人民元のはじまり

中国のデジタル人民元の開発は
とても早く2014年に始まりました。
ビットコインが開発されたのが
2009年ですのでそれから5年後には
政府主導の開発が始まっています。

中国は国土が広いので、
お金のような共通のモノを全体に
行き渡らせるのがむつかしい国です。
逆に日本では国土が狭く
ATMがどこにでもあるので、
わざわざデジタル通貨を作る
必要がないので開発は遅れがちです。

中国デジタル決済の現状

中国のネット業界は Alipay Wechat
独占しています。

Alipay(アリペイ) は AntGroup のつくった
オンライン決済アプリです。

Wechat Pay(ウィチャットペイ)は
世界最大のゲーム会社でもある
Tencent の開発した決済アプリです。

中国の人口はおよそ13億人ですが
Alipay ユーザーは6.5憶人
Wechat Pay ユーザーは8億人と
すでに広く使われています。

しかも両者アプリもお財布だけの
機能だけではなくSNS、ネット通販、
配車アプリ、生活サービス、
エンタメ、金融、公益から
信用スコアまで、
あらゆる生活シーンに使うため
すでになくてはならない
アプリになっています。

中国人民銀行総裁 周小川氏のはたらき

中国のデジタル通貨の研究は2014年
周小川(ジョウ・シャオチュアン)氏の
もとで始まりました。
2016年には「デジタル通貨研究所」を
深圳に立ち上げています。

深圳とは香港の北にある
広東省の都市のひとつです。
人口は約1700万人
超高層ビルの立ち並ぶビル街があり
中国の経済特区で
金融センターでもあります。

開発をすすめた周小川氏は
1948年江蘇省生まれ
出身大学は精華大学です。
精華大学は世界大学ランキング16位
アジアではトップの大学です。
ちなみに東京大学は39位です(2022年)

そこから中国銀行副頭取、
中国建設銀行の頭取を経て
中国人民銀行総裁を2003年から2018年の
3期にわたって歴任。
国際的な金融感覚をもっていて、
元FRB議長のグリーンスパン氏からも
高い評価を得た人物です。

各地で無料の配布をして実証実験をすすめる

デジタル通貨研究所では
銀行やIT企業を交えた研究をおこない
2020年4月から
深圳、蘇州、雄安新区、成都で実験を開始
2020年11月からは
海南、上海、長沙、西安、青島、
大連、張家口などのオリンピック会場の
実証実験を行っています。

そして2020年から深圳の住民に
そして2022年には香港から
深圳に来た人たちにも、
デジタル人民元の配布実験を始めています。

配布は抽選、6日間で使い切ること

2020年に深圳で行われた
デジタル人民元の配布は抽選で
5万人に200元(約3000円)
が配られました。

この実験配布は深圳市民を対象に
参加者を募集します。
参加登録をしたのは深圳の市民190万人。
深圳市の人口はおよそ1700万人なので
深圳市の14%の人が応募に参加しています。

以外にも少ない印象ですが
中国全土で初めての配布実験だったので
このくらいの数字なのかもしれません。

当選者はデジタル人民元アプリ
「e-CNY」をダウンロードをすれば
そこへデジタル人民元が振り込まれます。
受け取ったデジタル人民元は
事前に登録していた市内3000か所の
事業者や小売店で使えます。

この配布された人民元は
受取から6日間で使い切ること、
他人へ譲渡することは禁止
また銀行口座へ入金することも禁止です。

この実験で検証されたのは

  • 本当に誰もがデジタル人民元を現金のようにいつでも、どこでも、すぐに使えるのか?
  • ネットにつながなくてもスマホをかざしあうだけで使えるのか?
  • プライバシーが保護されるかどうか?

このようなことが検証されています。

まとめ

中国の始めたデジタル人民元の
取り組みを解説しました。
中国ではアリペイ、ウィチャットの
2大アプリがネット事業を
独占しています。

そこへ新しく国の主導する
デジタル人民元が始まります。
中国ではすでに2大決済アプリがあり
新しくデジタル人民元のアプリを
普及させるにはまだ時間がかかりそうです。

政府はデジタル人民元を実験を兼ねた
無料配布を始めていて普及活動に
力を入れています。
また、サービス向上のため
ウィチャット上から
デジタル人民元を使えるようになるなど
協力関係も進めています。

参考文献

「デジタル通貨」に関する調査研究 : 財務総合政策研究所 (mof.go.jp)
着々と拡大するデジタル人民元経済圏 |2023年 | 中国のデジタル経済とチャイナ・イノベーションのトレンド | 野村総合研究所(NRI)
WechatPay(ウィーチャットペイ 微信支付)| 風神テクノロジー株式会社 (fuujin.co.jp)
WeChat、決済プラットフォームにデジタル人民元を統合 | Cointelegraph | コインテレグラフ ジャパン
「デジタル人民元」はAlipayとWeChat Payの座を奪うのか?補完するのか? | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン
野村資本市場研究所|「デジタル人民元」の中国国内での初の市民参加型実験の概要-深圳市・蘇州市に加え、北京冬季五輪での実験も始動-(PDF) (nicmr.com)

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