中国では「デジタル人民元」発行に向けて
最終段階です(2023年)
かたや日本では先日「デジタル円」の
実証実験に民間企業が加わった、
というニュースが発表された段階です。
お金のデジタル化はこれから
どんどん広まっていくでしょう。
すでにバハマやカンボジアでは
2020年から法定通貨のデジタル化が
始まっています。
ちなみにカンボジアのデジタル通貨は
日本の企業ソラミツ開発したものです。
ここでは、主要国の中で
1番デジタル化が進んでいる
中国のデジタル人民元の
1番の発行目的である
小口決済について解説します。
中国では導入前にデジタル人民元を
無料配布しています。
日本でも、もしかしたら同じことが
行われるかもしれません。
お金の全く新しい形なので
不安に思う方も多いと思いますが
知識をつけて不安をなくして
お得な情報を逃さないようにしましょう。
デジタル人民元のしくみ
中国では2014年から人民元のデジタル化
に向けて研究をはじめています。
2020年からは無料でデジタル人民元を
市民に配布する実験も始まり
無料の配布金額はすでに
18億円以上になります。
中国ではデジタル決済はすでに
国民の間に広く普及しているのは
皆さんご承知のとおりです。
中国は日本と違って国土が広いため
現金を行き渡らせるのが大変だったり
偽札が市中に多く出回っているので
人々もデジタル決済を使った方が
安全なのでデジタルへの移行や普及も
日本よりずっと早いです。

国内の小口決済が主な目的
2021年に中国の中央銀行が発表した
白書があります。
それには、デジタル人民元の発行目的を
「国内の小売決済を主な目的とする」
と書かれています。
小口決済が主な目的だとすると
その決済数が莫大な数になるため
決済処理スピードがとても重要になります。
逆に銀行間の取引などは決済数は少ないので
スピードはそれほど大切ではなくなります。
その大切な「決済の処理」とは、
どんなことをさすのでしょうか?
例えば、今受け取ったお金が
正しいお金なのか?
どこからか急に湧き出てきた
誰かが偽造したデータのお金じゃないのか?
お金の出どころを調べることです。
AさんからBさんへそこからCさんへ
と正しく渡ってきているものなのか
チェックして正しいとわかれば
取引処理は終了し決済は成立します。
決済処理のスピードは
人口13億人の中国ではとても大切です。
処理のスピードが遅いと
多くの人がお店のレジの前で
待たされることになるので、
市民の不満が高まります。
中国では決済スピードは少なくとも
1秒間に最低でも30万件を維持したいと
考えています。
暗号通貨で有名なビットコインでは
ブロックチェーン技術を使って
1秒間にたったの5件しか処理できません。
なのでビットコインを日常の買い物に使うと
レジで10分待たされる・・・
というのは有名な話です。
暗号通貨にもいろいろな種類があって
決済処理能力の早いリップルやネムだと
1秒間に1500件~4000件処理できます。
もちろんブロックチェーン技術を
使っています。
クレジットカードの決済スピードは
だいたい1秒間に3000件程度です。
こちらはブロックチェーンを使わず
1か所で決済を集中管理して処理をして
このくらいのスピードになります。
デジタル通貨を導入している
バハマやカンボジアで導入している
デジタル通貨の決済処理は
ブロックチェーンを使っていますが、
およそ処理速度は1秒間に数千件です。
バハマの人口は約40万人
カンボジアの人口は約1600万人
と少ないですし
まだそれほど広まっていない
ということもあって
問題はないかもしれません。
中国人民銀行元総裁の周氏は
2020年の講演で決済処理を
必ずしもブロックチェーンにする必要はなく
各銀行の裁量にまかせるとしています。
決済規格を統一しない理由は、
中国の市場規模が大きいため規格を
統一すると以降変更がむつかしいため
技術的な規格を統一する予定はなく
中央銀行が最適なしくみを提案することは
技術的にも難しいので各社がそれぞれに
競い合って効率のよい決済システムを
作っていけるように見守っていくつもり
であると話しています。
今後も技術の進化が待たれる、
ということでしょう。
野村資本市場研究所|「デジタル人民元」の中国国内での初の市民参加型実験の概要-深圳市・蘇州市に加え、北京冬季五輪での実験も始動-(PDF) (nicmr.com
まとめ
デジタル人民元の発行目的は
小口決済(リテール決済)であること
についてみてきました。
中国の人口の多さを考えると
人々が毎日お店でスムーズに使うためには
決済処理は大切です。
ビットコインなどの暗号通貨では
ブロックチェーンと呼ばれる技術が
使われていますが、ブロックチェーンは
決済の処理スピードが遅くなってしまう
欠点があります。
日常の生活に使うお金であるためには
市民がレジの前で待たされてはいけません。
なので、
中国ではブロックチェーンを使うことに
こだわってはいません。
この辺りはまだ改善しなければいけないでしょう。
参考文献
「デジタル通貨」に関する調査研究 : 財務総合政策研究所 (mof.go.jp)
野村資本市場研究所|「デジタル人民元」の中国国内での初の市民参加型実験の概要-深圳市・蘇州市に加え、北京冬季五輪での実験も始動-(PDF) (nicmr.com)
NFCとは?スマホに搭載された便利な機能について解説します - PayPay
デジタル人民元の基本的な特徴と仕組み (dir.co.jp)
【20-034】デジタル人民元・ブロックチェーンの活用状況について | SciencePortal China (jst.go.jp)