となりの生き物

海の浮かぶ黄色い袋 フクロノリ

フクロノリ

海には変わった形の生き物がたくさんいるのですが、この「フクロノリ」も、とても変わった形を持った生き物です。

フクロノリは、袋ではありません。
また、糊でもありません。
実は海藻なんです。

この海藻のフクロノリは、岩にヘアーキャップを置いたような形で成長します。

ヘアーキャップ?!


ヘアーキャップです。
ヘアーキャップとは、あのちょっと高めなホテルとかにおいてある、女性などが髪をぬらさないように頭にかぶる、袋状になっているビニール袋のことです。
フクロノリは、シャワーキャップの開いている方を、岩につけて、膨らました感じの海藻です。成長すると袋がどんどん大きくなっていきます。

たまに大繁殖するときがあるので、海岸で見かけた方もいらっしゃるかもしれません。

ここではそんなフクロノリについて、詳しく解説します!

海いっぱいの成長したフクロノリ

フクロノリ

褐藻綱
カヤモノリ目
カヤモノリ科

フクロノリの特徴

フクロノリは、褐藻類の一種で、カヤモノリの仲間です。
カヤモノリには高級海苔で有名ハバノリがあります。

フクロノリは、その名の通り、袋状で、見た目が特徴的な海藻です。

  • 形態
    袋状で、表面はでこぼこしており、触るとごわごわした感触です。
    大きさが3センチくらいまでは丸い形ですが、20センチくらいの大きさになると丸い形があちこちに現れたごつごつした黄色い塊になります。
  • 生息地
    日本各地の磯、小笠原、琉球列島など、広い範囲の海で見られます。
  • 生態
    潮下帯下部から漸深帯の岩上や、他の海藻の上などに生息しています。
    春から夏にかけてよく生育し、磯で見かける機会が増えます。

食べられるの?

フクロノリは食用になることもありますが、現在まで広く利用されている地域は知られていません。
一方、一文字違いの「フクロフノリ」は紅藻類で、食品添加物の多糖類フノランとして利用されています。

似た海藻

フクロノリと似た海藻に、カゴメノリがあります。カゴメノリはフクロノリよりも網目状の模様が特徴です。

中央の穴の開いているのがカゴメノリ 
まわりの岩には若いフクロノリがついている

英語圏ではフクロノリのことを英語では、oyster thief(オイスター・シーフ)「カキ泥棒」や、sinuous ballweed(シヌオース・ボールウィード)「ひねくれて風に吹かれて転がる草」と詩的名前で呼ばれています。
フクロノリの成長するとぼこぼこになる感じがでていますね。

フクロノリは、ぷっくりと膨らんだ表面は、まるで風船のようです。
触ると少し弾力があり、海の生き物に触れているような不思議な感覚です。

海藻の世界は、私たちが想像する以上に多様です。
海藻たちは、それぞれが異なる環境に適応するために、様々な形に進化してきました。
フクロノリの袋のような形も、その一つと言えるでしょう。
そのユニークな形は、自然が作り出す造形の多様性を教えてくれます。

みなさんも、海岸へ足を運んで海の生き物の多様性に驚いて見ませんか?
きっと楽しいですよ!

参考文献

ネイチャーウォッチングガイドブック 海藻 誠文堂新光社 
磯の生き物図鑑 トンボ社

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