ぽれぽれ経済学

きれいな空気と公共財の関係~持続可能な社会のために

公共財と環境

休日に家族でお気に入りの公園に行ったけど、ゴミが落ちていて少し残念・・・
あなたはこんな経験をしたことはないですか?

そもそも、公園って誰が掃除してるんだろう?
税金?
ボランティア?
一体こういう公共の場所って、どうやって維持されてるの?
って考えたことはありませんか?

ここでは、そんな公共の場所は誰が、どうして作ったのか、どうしてお金がとられないのか深掘りしていきます。

公園なんて無料でいつでも使えるし、そんな誰がつくったかなんて興味がないよ・・・
という方もいらっしゃるかもしれません。
でも、公園をつくったのは、市場のメカニズムと大きく関係があるんです。

どこまで市場に任せて、どこから行政が行うのか、その線をはっきりさせるために「公共財」の知識が役に立ちます。

ここではちょっとなじみのない言葉「公共財」についてやさしく徹底解説します。
ぜひ、ご覧ください。

公共財とは  キーワードは「みんなで使う」

まず「公共財」とはいったい、なんのことでしょうか?

公共財とは何か?

「公共財」とは、一言で言うと、「みんなで一緒に利用できる財やサービス」のことです。
特定の誰かのものというわけではなく、社会全体で共有し、みんなでその利益を享受することのできるものを指します。

例えば、以下のようなものが公共財の例として挙げられます。

  • 公園
    誰でも自由に利用できます。
    公園で遊んだり、休憩したり、散歩したり、いろいろな人が来て楽しむことができます。
  • 道路
    車や自転車、歩行者など、多くの人が移動のために利用します。
    道路があることで、物の輸送もスムーズになり、経済活動も活発になります。
  • 消防
    火事が起きた時に、私たちの生命や財産を守ってくれます。
    消防サービスは、私たち全員にとって必要不可欠です。
  • 国防
    外国からの侵略などから国を守り、国民の安全を確保します。
    これも、国民全体が恩恵を受けるサービスです。
  • 基礎研究
    新しい知識や技術を生み出すための研究です。
    直接的な利益が見えにくいこともありますが、長期的に見て社会全体に大きな恩恵をもたらします。
  • きれいな空気
    私たちは誰もが空気を吸って生きています。
    きれいな空気は、健康的な生活を送るために不可欠な公共財と言えます。
きれいな空気は公共財

公共財の2つの大きな特徴

公共財には、他の財とは違う2つの特徴があります。

  1. 非排除性(排除不可能性)
    これは、「誰かがその財の利用を始めたら、他の人をその利用から排除することが難しい」という性質です。

    例えば、公園を考えてみましょう。
    公園ができたからといって、「あなたは公園を使ってはいけません」と特定の人を排除することは難しいですよね。誰でも公園に入って利用することができます。
    道路や消防、国防なども同じです。サービスが提供されれば、国民全体が恩恵を受けるので、特定の人だけを排除することは現実的ではありません。
  2. 非競合性(消費の非競合性)
    これは、「誰かがその財を利用しても、他の人の利用を妨げない」という性質です。

    別の言い方をすると、「誰かが消費しても、他の人の消費量が減らない」ということです。
    例えば、公園であなたがベンチに座って休憩しているとします。
    あなたがベンチに座っているからといって、他の人が公園の空気を吸えなくなるわけではありませんし、他の人が公園内を歩くスペースが狭くなるわけでもありませんよね。
    国防やきれいな空気なども同様です。一人が国防サービスを享受しても、他の人の国防サービスの享受を妨げることはありません。

公共財と普通の財(私的財)の違い

そこで疑問がわきます。
「公共財」と、お店で売っているような「普通の財(私的財)」は、何が違うのでしょうか?

それは、上に挙げた「排除性」と「競合性」があるのか?ないのか?です。

お店で売っているパンを例に考えてみましょう。

  • パンには排除性があります
    パンを買うためにはお金を払う必要があります。
    お金を払わない人はパンを買うことができません。
    つまり、パンの購入・消費から人を排除することができます。
  • パンには競合性があります
    あなたがパンを一つ食べたら、そのパンはなくなってしまいます。
    他の人がそのパンを食べることはできません。
    つまり、パンの消費は競合的です。

このように、パンは「排除性」と「競合性」の両方を持っているため、公共財ではなく、普通の財、つまり私的財に分類されます。

なぜ公共財は問題になるのか?(フリーライダー問題)

「公共財」は、社会にとってとても大切なものですが、市場に任せているだけでは、十分に供給されないことがあります。

なぜでしょうか?

それは、公共財の「非排除性」という特徴が原因で、フリーライダー問題というものが起こるからです。

フリーライダーとは、「ただ乗りする人」という意味です。
公共財の場合、誰かがお金を出して公共財を供給したとしても、非排除性のため、お金を出していない人もその恩恵を受けることができます。

例えば、地域のために誰かが公園を整備したとします。
もし、公園の利用が無料であれば、公園が完成した後、公園の整備に全く協力しなかった人も、公園で遊ぶことができますよね。 協力しなかった人は、まるで「ただ乗り」しているように見えます。

多くの人が「どうせ誰かがやるだろう」「自分がお金を出さなくても恩恵を受けられるだろう」と考えてしまうと、誰も公共財の供給に協力しなくなる可能性があります。 その結果、本来社会に必要な公共財が、十分に供給されなくなってしまうのです。

これが、フリーライダー問題です。

その課題は「市場」がやる? それとも「政府」がする?

私たちの身の回りの必要なものは、民間の企業が提供してくれるもの、例えば食事や衣料品、住宅があります。逆に、政府が提供しているもの、例えば道路、信号機や街灯などがあります。

これらのサービスをすべて「市場」に任せて民間が行ったり、すべて「政府」に任せるとうまくいきません。それぞれが得意な分野を行うことが大切です。

  • 市場の得意・不得意
    • 得意なこと
      パン屋さんや洋服屋さんなど、「自分のもの」 にしやすいモノやサービス ( 私的財 ) の提供。競争原理が働き、良いものが効率的に提供されやすい。
    • 不得意なこと
      公共財。
      「ただ乗り問題」 (フリーライダー) が発生しやすい。
      みんなが「誰かがやるだろう」と思ってしまい、誰もお金を払わなくなる可能性がある。
  • 政府のできること
    • 税金などを集めて、市場では提供されにくい街灯、道路、公園、消防、警察、国防、義務教育などを提供する。

「市場」にまかせるのか?
または「政府」が限られた税金を使って整備するのか?

実際の現場で起こるさまざまな問題は、道路や信号機のような役割分担が分かりやすいものばかりではありません。

例えば、環境問題はどこまでが「政府」が行うのかはとても難しく複雑な問題があります。
そこで、一つの目安として「公共財」のもつ排除性競合性の考え方を当てはめると、くっきりしてきます。

どういうことでしょうか?

環境問題と公共財

環境を汚さない、ということは「公共財」の性質を持っています。
詳しく見ていきましょう。

  • きれいな空気や水
    誰かが川を汚染すると、多くの人が影響を受けます。
    誰かだけきれいな水をもらう、というわけにはいきません。
    つまり非競合性・非排除性の性質を持ちます。
  • 地球温暖化対策
    温暖化は地球全体の問題であり、特定の国や地域だけが対策しても効果は限定的です。
    対策の効果は全世界に及ぶため、非競合性・非排除性の性質を持ちます。
  • 生態系の保全
    豊かな生態系は、私たちに様々な恵みを与えてくれますが、一度破壊されると回復は困難です。生態系の恩恵は広く共有されるため、非競合性・非排除性の性質を持ちます。

公共財である環境の問題解決

このように「よい環境」は、公共財です。
環境を「公共財」として考えると、政府のすることと、市場がおこなえる役割がはっきりしてきます。

  • 市場の失敗への対応
    「公共財」は、市場メカニズムだけでは効率的な供給が難しいとされています(市場の失敗)。
    前にもお話ししたように、企業が公共財を供給しても、その恩恵を受けない人から対価を得ることが難しく、利益を上げにくいためです。
    環境問題も、企業が自主的に解決しようとしても、コストがかかる一方で直接的な利益に繋がりにくく、市場メカニズムだけでは解決が難しい場合があります。
  • 行政の役割の明確化
    市場メカニズムが機能しにくい公共財の分野では、行政が積極的に関与する必要があります。環境問題の解決は、まさにその分野であり、行政が主導的な役割を果たすべき領域を明確にできます。
  • 公平性の確保
    環境問題の影響は、社会全体に及ぶため、特定の企業や個人に責任を押し付けるのではなく、社会全体で公平に負担を分担する必要があります。行政は、法規制や税制などを通じて、公平な負担を求める役割を担うことができます。
  • 長期的な視点
    環境問題の多くは、長期的な視点での取り組みが必要です。
    企業の活動は短期的な利益を追求しがちですが、行政は長期的な視点に立ち、持続可能な社会の実現を目指す役割を担うことができます。

公共財の基準を目安にした役割分担

「公共財」の基準を使って、環境問題の解決策を「政府」と「市場」のどちらがどの役割をするのかは、次のように考えることができます。

  • 政府が中心となっておこなうこと
    • 法規制・基準設定
      汚染物質の排出基準や環境基準の設定、環境アセスメントの実施など、環境保全のためのルール作りと監視や執行は、行政の重要な役割です。
    • 監視・取締り
      環境関連法規の遵守状況の監視、違反行為の取締りなど、環境保全のための監視体制の構築と実行は、行政の役割です。
    • 環境インフラの整備
      下水道、廃棄物処理施設、公園などの環境インフラの整備は、公共性が高く、行政が主導的に行うべき事業です。
    • 環境教育・啓発
      環境問題の重要性や環境保全の必要性を社会全体に啓発し、環境に配慮した行動を促すことも、行政の役割です。
    • 国際協力
      地球温暖化のような地球規模の環境問題への対応は、国際的な協力が不可欠であり、行政が国際交渉や国際的な枠組みへの参加を主導する必要があります。
  • 民間の役割が期待されること
    • 環境技術の開発・普及
      環境負荷を低減する技術や、再生可能エネルギーなどの開発・普及は、企業の技術革新や投資によって進められることが期待されます。
    • 環境に配慮した製品・サービスの提供
      環境に優しい製品やサービスを開発・提供することで、消費者の環境意識に応え、市場を通じて環境問題解決に貢献できます。
    • 省エネ・リサイクル活動
      企業や家庭における省エネルギーやリサイクル活動は、資源の有効活用や廃棄物削減に貢献し、環境負荷を低減します。
    • 環境保全活動への協力
      企業のCSR活動や、NPO・NGOなどによる環境保全活動への協力も、環境問題解決に貢献します。

役割分担の具体例

具体的な環境問題の例で考えてみましょう。

  • 例1:工場からの排水規制
    • 行政の役割
      排水基準の設定、工場の排水状況の監視、違反工場への指導・処分など、法規制とその執行を中心に行政が役割を担います。
    • 民間の役割
      排水処理技術の導入、排水基準の遵守、排水量の削減など、企業が規制を守り、自主的に環境負荷を低減する努力が求められます。
  • 例2:再生可能エネルギーの普及促進
    • 行政の役割
      固定価格買取制度や補助金制度などの導入、再生可能エネルギー導入目標の設定、規制緩和など、市場メカニズムを活用しつつ、普及を後押しする政策を行います。
    • 民間の役割
      再生可能エネルギー発電所の建設・運営、関連技術の開発、電力の供給など、企業が事業主体として、再生可能エネルギーの普及を担います。
  • 例3:ごみ問題
    • 行政の役割
      ごみ収集・処理システムの構築・運営、分別ルールの策定・周知、最終処分場の確保など、都市ごみ処理の基礎的な部分を行政が担います。
    • 民間の役割
      分別収集への協力、ごみ減量化・リサイクル活動への参加、リサイクル技術の開発、リサイクル製品の利用など、市民や企業が主体的にごみ問題解決に協力することが求められます。

「公共財」という基準は、役割分担を考える上で非常に有用ですが、もちろん万能ではありません。
環境問題は地球規模の問題で状況によって、最適な役割分担は変わってきます。
けれど、環境問題解決には、行政だけでなく、民間の創意工夫や技術革新が欠かせません。

公共財の視点に偏りすぎると、民間の活力を十分に引き出せない可能性があるので注意が必要です。

まとめ

公共財について解説しました。
公共財の知識は、単に税金をどのように使うかということだけではなく、民間でできることと、できないことの差をはっきりさせるために利用できます。

「市場」(民間)では、使ってしまったら他の人は使えなくなってしまう(排除性)、早い者勝ち(競合性)のあるものを扱い、排除性と競合性のないものを「政府」が税金を使って行います。

「公共財」を知っていると、市場と政府の役割について、バランスの取れた視点を持つことができます。

また「公共財」という基準は、環境問題解決のための民間と政府の役割分担を考える上で、非常に重要な目安となります。公共財の視点から環境問題を捉えることで、市場メカニズムの限界を認識し、政府が積極的に行っていかなければいけないことがはっきりします。

環境問題はひろく複雑です。
技術革新や社会の要求に応じて柔軟な考え方が必要です。

公共財の基準を参考にしつつ、民間の活力も最大限に活用し、両者が協力して環境問題解決に取り組むことが重要です。

あなたも、何か問題が起きたときに「公共財」のような基準で考えてみませんか?
それは、何かの条件が整ったら条件に合わないものを排除できそうでしょうか?
それは、誰かが使ったら他の誰かが使えなくなるタイプのものでしょうか?

両方当てはまれば、報酬をつけることで解決できるかもしれません。
両方当てはまらなければ、権力のある人が解決した方がよいかもしれません。 

ぜひ、みなさんも一つの目安として使ってみてください。

参考文献

経済学入門 ティモシー・テイラー

PR:株式会社レオナビューティー

RP:株式会社イワミズ

PR:ネクステージ株式会社

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