あなたは、春になると道端やコンクリートの割れ目に咲く丈夫な植物「ハハコグサ」ご存じですか?
残念なことに「ハハコグサ」は、多くに人にとって雑草かもしれません。
でも、「ハハコグサ」をよく見ると、花はやさしい黄色、葉はクリーム色がかった緑色でとてもやさしい印象の植物です。暖かい地方だと一年中見られる身近な植物です。
実は「ハハコグサ」は、春の七草の「ゴギョウ」のことで、食べることができます。
あなたも春の風を感じながら一緒に「ハハコグサ」を探してみませんか?

ふわふわのハハコグサ
春の七草のひとつになっている「ハハコグサ」ですが、その名前はなんとなく懐かしい響きがあります。「ハハコグサ」は、昔から人々の近くに育ち、利用されてきたため、多くの俳句や短歌に歌われてきました。
ハハコグサの最大の特徴は、全身を覆うふわふわの綿毛です。
ハハコグサの全体に綿毛がついているので全体が白っぽく、日が当たれば輝いて見えます。
綿毛はふわっとしていているので、思わず触れたくなる衝動に駆られます。
そっと葉っぱを撫でれば、きっとその優しい感触に心が癒されるでしょう。
そんなやさしいハハコグサですが、写真のように、花びらというものがありません。
なので、道端にハハコグサが生えていても、なんとなく見逃してしまうかもしれません。
ハハコグサの上についている黄色い部分をよーく見ると一つ一つがお花のようになっています。
この小さなつぶつぶが集まった部分に、雌花や雄花が大切に守られていています。

ハハコグサのレシピ集
ハハコグサ(母子草)は、春の七草の一つ「ゴギョウ」としても知られる野草で、様々な料理に活用できます。特に若葉が食用に適しているので春が来たら召し上がってみてください。
ハハコグサを使ったおいしいレシピをご紹介します。
草餅・草団子
ハハコグサをおもちに混ぜて食べるのは、ハハコグサの代表的な食べ方です。
よもぎの草餅と同様に、茹でてすり潰したハハコグサを白玉粉や上新粉と混ぜて練り、団子や餅にします。
よもぎよりもアクが少なく、優しい風味が特徴です。
昔はよもぎの代わりにハハコグサが草餅に使われていた地域もあります。
作り方例
- ハハコグサの若芽をよく洗い、さっと熱湯で茹でて冷水にとる。
- 水気をしっかり絞り、細かく刻んでからすり鉢ですり潰す。
- 白玉粉などに水を少しずつ加えて混ぜ、すり潰したハハコグサを加えて耳たぶくらいの硬さになるまでよくこねる。
- 食べやすい大きさに丸めて熱湯で茹で、浮いてきたら1~2分茹でて取り出し、冷水にとって水気を切る。
- お好みであんこやきな粉を添えていただく。

おひたし・和え物
ハハコグサの若葉は、さっと茹でておひたしや和え物にすると美味しいです。
作り方例
- ハハコグサの若葉をさっと茹で、冷水にとり水気をしっかり絞る。
- 醤油やごま油、酢などで味付けをする。
- 味が物足りない時は、かつお節やごまを加えても良いです。
天ぷら
ハハコグサの若葉は、天ぷらにしても美味しくいただけます。
白い綿毛が特徴的で、独特の食感が楽しめます。
作り方例
- ハハコグサの若葉をよく洗い、水気をしっかり拭き取る。
- 薄めに天ぷら粉をつけ、高温でカラッと揚げる。衣は薄めがおすすめです。
七草粥
春の七草の一つ「ゴギョウ」として、お正月明けに食べられる七草粥に入れます。
作り方例
- 米を研いで鍋に入れ、水と塩を加えて火にかけ、沸騰したら弱火で30分ほど煮る。
- 細かく刻んだハハコグサを含む七草を加えて、蓋をして3分ほど蒸らしてできあがり。

薬草茶としても
またハハコグサは薬用としても利用されています。
ハハコグサを乾燥させたものは生薬でソキクソウ(鼠麹草)と呼ばれています。
ハハコグサを乾燥させてお茶にして飲むと、のどの腫れに有効とされ、他に利尿作用がありむくみの軽減に効果があると言われています。

調理のポイント
どのレシピでも、ハハコグサは成長すると茎が硬くなり、繊維質が多くなるので、柔らかい新芽や若葉の時期に摘み取るのがおすすめです。
また、よもぎほど強いアクはありませんが、気になる場合はさっと茹でて水にさらすと良いでしょう。
ハハコグサは、昔から日本で親しまれてきた野草です。
ぜひ様々なレシピで春の味覚を楽しんでみてください。
春の訪れとともに顔を出すハハコグサは、私たちに優しい恵みを届けてくれます。
野山の小さな営みに目を向け、日々の暮らしにささやかな彩りを添えてみてはいかがでしょうか。
きっと、心豊かな発見が待っているはずです。
春が来たらぜひハハコグサを探してみてください。

参考文献
明日出会える雑草の花 高橋修
原色日本植物図鑑 保育社
小学館の図鑑 植物 小学館
ハハコグサ - Wikipedia