タチツボスミレの仲間の中でも、特に見分けのつきにくいタチツボスミレとニオイタチツボスミレの見分け方を徹底解説します。
春の散歩にぜひお役立てください。
タチツボスミレとニオイタチツボスミレの違い
タチツボスミレとニオイタチツボスミレは、どちらもスミレ科スミレ属の多年草で、一見よく似ています。
けれど、いくつかの特徴を押さえれば簡単に区別することができます。
葉
- 形
- タチツボスミレ ほとんどがハート形または縦長のハート形
- ニオイタチツボスミレ 少しだけ縦長のハート形またはハート形
- 裏面
- タチツボスミレ 葉の色は緑
- ニオイタチツボスミレ タチツボスミレより緑が濃い、また葉が黒っぽい個体がある
花
- 色
- タチツボスミレ 淡紫色
- ニオイタチツボスミレ タチツボスミレより濃い紫色をしている。中心の白がはっきりとしている
- 大きさ
- タチツボスミレ 1.5~2 cm
- ニオイタチツボスミレ 2~2.5 cm
- 距
- タチツボスミレ 短く太い
- ニオイタチツボスミレ 長く細い
- 香り:
- タチツボスミレ ほとんどない
- ニオイタチツボスミレ 香りのする個体が多い
その他
- 生育場所:
- タチツボスミレ 山地、路傍、草地など幅広く生育することが出来る
- ニオイタチツボスミレ 日当たりのよい乾燥した場所
補足
- タチツボスミレとニオイタチツボスミレは、雑種をつくりやすいことが知られています。そのため、中間的な形態のものを見かけることもあります。
- 花の色や大きさ、距の長さなどは、個体差によって多少異なる場合があります。
これらの点を参考に、じっくり観察すれば、タチツボスミレとニオイタチツボスミレを見分けることができます。
タチツボスミレやニオイタチツボスミレの楽しい観察の仕方
タチツボスミレとニオイタチツボスミレは、春を代表する可憐な花ですが、小さな花なので、じっくり観察しないと見逃してしまうことがあります。以下に、これらの花をより楽しく観察するためのヒントを紹介します。
- ルーペを持参する
花びらや葉の細かい部分を観察するには、ルーペがあると便利です。
ルーペを使うことで、花びらの模様や葉脈の構造などをより詳しく観察することができます。 - 花の香りを嗅いでみる
ニオイタチツボスミレは、その名の通り、甘い香りを放っています。
一方、タチツボスミレは香りはほとんどありません。花に近づいて香りを嗅ぎ比べてみましょう。 - 花の形をよく観察する
花びらの数や形、距の長さなどを観察してみましょう。
タチツボスミレとニオイタチツボスミレは、花の形に微妙な違いがあります。 - 葉の形や裏面を観察する
葉の形や裏面の毛の様子も、タチツボスミレとニオイタチツボスミレを区別する手がかりになります。 - 写真を撮る
観察した花の写真を撮るのはおすすめです。野山での観察はなかなか十分に観察できないことがほとんどです、そんなとき撮った写真を図鑑などと比べて詳細に観察することが出来ます。 - スケッチしてみる
花の形や色をスケッチしてみるのも、楽しい観察方法です。ちょっとした特徴だけでもスケッチしておくと後で思い出すのも簡単になります。 - 花言葉を知る
タチツボスミレの花言葉は「貞節」、「謙虚」、ニオイタチツボスミレの花言葉は「忠誠」です。花言葉を知ると、花を見る楽しみが増すかもしれません。 - 生育場所を観察する
タチツボスミレとニオイタチツボスミレは、生育場所が少し異なります。
タチツボスミレは山地や路傍、草地などに、ニオイタチツボスミレは日当たりのよい乾燥した場所に多く見られます。 - 他のスミレと比べてみる
スミレにはたくさんの種類があります。他のスミレと比べてみることで、タチツボスミレとニオイタチツボスミレの特徴をよりよく理解することができます。
これらのヒントを参考に、ぜひタチツボスミレやニオイタチツボスミレをじっくり観察して、春の訪れを感じてみてください。
参考文献
山渓ハンディ図鑑6 日本のすみれ いがりまさし
原色日本植物図鑑 保育社