企業が経済活動を行う目的は、持続的な利益のためです。
利益がなければ企業として存在することができません。
企業が存在することは、私たちの生活を豊かに、健康のためにも必要なことですが、企業の活動の結果は良いことばかりではありません。
ここからは、その市場の「負」の部分について見ていきましょう。
企業が利益を追求することは、優れた製品を低価格で生み出す原動力になっています。
けれど、企業の活動は良いことばかりではありません。独占によって価格を不当に釣り上げたり、品質を落としたり、誇張した広告、環境の破壊などの社会にとって望ましくない行動につながることもあります。
そこで、今回はまず初めに、なんとなく知っているつもりの「企業」についてまとめておきましょう。「企業」と一口に言っても町工場の小さな企業から世界中で取引している企業までさまざまです。そもそも企業とはなんでしょうか?
企業ってなんですか?
企業とは、営利を目的として一定の計画に従って経済活動を行う組織です。
つまり一人で「稼いでやろう!」と思ってなにかを始めれば立派な企業と言っていいわけです。
経済学で経済活動の主体といったら「家庭」「政府」そして「企業」の3つです。「企業」の役割は商品やサービスを提供し、雇用を受け入れ経済活動を活性化させることです。
企業は、経済活動を行う上で重要な役割を果たしています。企業がなければ、私たちは必要な商品やサービスを入手することができませんし、雇用がなければ賃金が受けられず豊かな生活を送ることができません。
企業の大きさ、その規模はさまざまです。一人で行う経済活動もあれば、世界中に従業員を抱える大きな企業もあります。その大きさによって株式や有限といった商号がつけられていて目的に応じて区別されます。
大企業と中小企業の違い
日本には大企業にまつわる定義はなく、中小企業が定義されていいます。中小企業より大きければ大企業、それより小さければ個人商店のように区別しています。
中小企業の定義は、中小企業基本法(昭和38年法律154号)において、中小企業は「常時使用する従業員の数が300人以下又は資本金の額又は出資の総額が3億円以下である事業者」とされています。
その中で社員の人数や資本金、出資額によってさらに細かく分けられ、業界ごとの規定が異なって業種によって基準となる人数や金額が一律ではありません。
大企業と中小企業の違いのひとつは、社員の人数です。
中小企業基本法では、業種ごとに常時使用する従業員数を定義しています。
具体的には、小売業が50人以下、サービス業や卸売業が100人以下、製造業や建設業、運輸業やそのほかの業種が300人以下です。これに当てはまれば中小企業です。超えると大企業ということになります。
社員数以外にも資本金や出資額に関する定義があり、中小企業と呼ぶには一定の金額以下でなくてはなりません。資本金または出資額の総額が、小売業とサービス業は5,000万円以下、卸売業は1億円以下、製造業や建設業、運輸業やそのほかの業種は3億円以下と定められ、当てはまれば中小企業、超えていれば大企業です。
企業には4つの形態があります
日本の企業には「株式会社」「合同会社」「有限会社」「個人商店」の4つの形態があります。
実は、日本は「株式会社」が圧倒的に多いです。2022年3月末時点での企業数は393.8万社で、そのうち株式会社は93.5%を占めています。
株式会社とは、出資者である株主から出資を受け、その出資額に応じて配当や議決権が付与される企業形態です。資本の集約や大規模な事業展開が容易なため、日本では中小企業から大企業まで幅広い規模の企業が株式会社を採用しています。
次に多いのは「合同会社」で、6.1万社で全体の1.5%を占めています。合同会社は、出資者である社員が共同で経営する企業形態です。合同会社は、設立や運営が株式会社に比べて簡便なため、近年増加傾向にあります。
「有限会社」は、3.1万社で全体の0.7%を占めています。有限会社は、出資者である社員が有限責任を負う企業形態です。有限会社は、株式会社と合同会社の中間的な位置づけにあります。2006年の法改正によって有限会社の新設は行われないことになりました。この先有限会社は少なくなる予定です。
「個人商店」は、8.1万社で全体の1.9%を占めています。個人商店は、個人経営の企業形態です。個人商店は、小規模な事業展開が中心であり、日本では中小企業の多くが個人商店として経営されています。
日本の企業の形態は、株式会社が圧倒的に多く、中小企業から大企業まで幅広い規模の企業が採用しています。近年は、合同会社や有限会社の増加傾向が見られますが、依然として株式会社が主流の企業形態となっています。
産業の種類
私たちの暮らしの中には企業が作ったものがたくさんありますが、企業はその作るものもさまざまです。私たちが思いもよらないものやサービスをこの世の中に送り出すこともあります。
企業は一体どんなことを仕事として行っているのでしょうか?
それを知る手掛かりになりそうなのは、総務省から出ている「日本標準産業分類」があります。
「日本標準産業分類」とは、総務省の出している日本の産業分類を定めたものです。統計調査の結果を産業別に表示する統計基準として1949年10月に設定されて以来、改定が重ねられています。
総務省|統計基準等|日本標準産業分類 (soumu.go.jp)
日本標準産業分類の中身を見ていきましょう。まず大きく分けて21の部門に分類されています。
- 鉱業,採石業,砂利採取業
- 製造業
- 電気・ガス・熱供給・水道業
- 建設業
- 卸売業
- 小売業
- 運輸業,郵便業
- 情報通信業
- 金融業,保険業
- 不動産業,物品賃貸業
- 学術研究,専門・技術サービス業
- 医療・福祉業
- 教育・学習支援業
- 娯楽・接待・宿泊業
- 飲食サービス業
- 生活関連サービス業(他に分類されないもの)
- 生活関連サービス業(生活関連サービス以外)
- 公務
- その他サービス業
- 家事サービス業
- その他
各部門は、さらに細分化されており、合計で1,324の分類項目があります。
このように膨大な数の産業を企業が支えていることが分かります。
ちなみに日本の産業の種類は、アメリカと同じくらいあると言われています。
日本とアメリカの産業の違いは、製造業の比率が日本では高く、サービス業の比率が低いことです。日本もさまざまさサービスが増えているように感じますが、アメリカは製造業の割合が低くサービス業が産業の中心になっています。
また国土が海に囲まれ、7割が森林ということもあり農業・林業・漁業の比率が高いのも日本の大きな特徴です。農業・林業・漁業の歴史はとても古く、現在でも日本の重要な産業となっています。
企業規模による売り上げ比較
日本は中小企業で働く人が多いといわれていますが、2022年3月末時点で、日本で大企業で働いている人は約1,200万人で、日本の全雇用者の約30%が大企業で働き、中小企業で働いている人は約3,000万人と全雇用者の約70%が中小企業で働いています。
中小企業は大企業と比べ生産性が悪く、給料が低いことが問題になっています。日本には中小企業で働いている人が多いので底上げが求められていますが、なかなか打開策が生み出せない状況です。
起業はどうでしょうか?
日本では企業から約3年で倒産する確率が50%と言われています。企業はたくさんのライバルのいる中で競争をしていかなければいけません。企業の競争とは私たち個人の競争とは違うのでしょうか? 企業の競争は私たちにどんな影響があるのでしょうか?
次回は企業の競争について見ていきます。お楽しみに!
まとめ
企業とはそもそもなにかということについて見てきました。
企業とは一口に言っても規模や事業内容についてもさまざまなものがありました。日本では資本金3億円以下または従業員数300人以下の企業を中小企業と定義しています。それ以上なら大企業、ということになります。
企業は利益を求めるために集まった組織です。その投資先や利益の分け方によって株式や有限会社、合同会社、個人商店と分けられます。日本では株式会社が多いですが、運営の簡便さから合同会社も増えています。
日本には約370万の企業がありそれらが1300以上の種類の経済活動をしています。それぞれの業種にはライバルがいるので競争は避けられません。
参考文献
統計局ホームページ (stat.go.jp)
統計Today No.195 (stat.go.jp)
中小企業庁:白書・統計情報 (meti.go.jp)
経済学入門 ティモシー・テイラー