となりの生き物

身近なサンゴ イソバナ

イソバナ

海岸を歩いているとたまにサンゴのような赤い枝が落ちていることがあります。
この枝がイソバナという今回の主人公です。
サンゴより柔らかくて、細長く、ちょっと曲げると折れてしまいます。

サンゴと聞くと高価な宝石のようなものをイメージされる方も多いかと思いますが、イソバナの体は柔らかい部分があるので乾燥するとバラバラになってしまうので、装飾品として使われることはありません。

高値で取引されることはありませんが、海岸でまだ海から打ち上げられたばかりの、赤くてきれいなイソバナを見つけると、とてもうれしいです。

みなさんもイソバナを探してみませんか?

イソバナ

動物界
刺胞動物門
花虫綱
八方サンゴ亜綱
ヤギ目
石軸亜目
イソバナ科

イソバナの特徴

イソバナは、クラゲと同じ仲間の刺胞動物です。
本州中部以南、朝鮮半島に分布し、きれいな海水が速く流れる干潮線下の岩礁上に群生します。

高さ、幅とも20cm以下の扇状に広がった樹枝状の群体をつくります。
枝は何回も枝分かれして、ときにはそれらが連結して群れているため、全体として網のようになります。
イソバナの枝は石灰質でできているので固いですが、枝の分岐部分は針のように細くて小さい骨とスポンジのような角質(ケラチン)で出来ているので、膨らんだ分岐部分で折り曲げると簡単に折れてしまうため、装飾品としては価値がありません。

イソバナの体は、ポリプと呼ばれる小さな個体で構成されています。
ポリプは、触手と呼ばれる細い突起を持ち、これでプランクトンなどの餌を捕らえます。
イソバナは、光合成を行う褐虫藻と共生しており、褐虫藻が光合成で作った栄養分をイソバナが利用することで、餌がなくても生きていくことができます。

イソバナの色彩は、赤、朱、黄色、白など、変種が多いので、カラフルなイソバナが群れると美しい花畑のようになるので「イソバナ」という名前が付けられました。

イソバナは、サンゴ礁の生態系において重要な役割を果たしています。
イソバナの群体は、多くの魚類や無脊椎動物の隠れ家となり、生物多様性を高める役割を果たしています。
また、イソバナの褐虫藻は、光合成によって酸素を生産し、海水の浄化にも役立っています。

近年、海水温の上昇や海洋汚染などの影響により、イソバナの生息域が減少していることが懸念されています。
イソバナは、サンゴ礁の生態系を守るために、保護していく必要がある生物です。

イソバナの観察方法

イソバナは、浅い海の岩礁などに群生しているため、シュノーケリングやダイビングで観察することができます。

イソバナを観察する際のポイント

  • 時期
    イソバナは、一年を通して観察することができますが、水温が高くなる夏から秋にかけてが特に観察しやすい時期です。
  • 場所
    イソバナは、波の穏やかな内湾や湾奥などの浅い海に生息しています。事前にダイビングスポットやシュノーケリングポイントの情報を確認しておきましょう。
  • 観察方法
    イソバナは、岩礁に群生しているため、ゆっくりと泳ぎながら観察しましょう。イソバナの色彩や形、触手の動きなどを観察してみましょう。
  • 注意点
    イソバナは、触ると刺されることがあります。観察する際は、素手で触らないようにしましょう。
    イソバナは、環境の変化の影響を受けやすい生物です。観察する際は、岩礁を傷つけたり、イソバナを採ったりしないようにしましょう。

イソバナを観察する際の持ち物

  • シュノーケルマスク
  • フィン
  • ウェットスーツ
  • ダイビング器材
  • カメラ

またビーチコーミングのように、どこかから折れてしまって、流れついたイソバナを探すのもお勧めです。
なんども足を運ばなければいけないかもしれませんが、鮮やかなイソバナを見つけるととてもラッキーに感じますし、とても楽しいです。

ぜひ、お近くの海岸に足を運んでみてはいかがでしょうか?

参考文献

磯の生き物図鑑 トンボ出版
日本動物大百科 平凡社

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