潮の引いた海岸に行くと、さまざまな生き物に出会うことが出来ます。
初めに目立つのは岩についている貝たちです。彼らは乾燥に強いので安全な岩の上で休んでいます。波打ち際のタイドプールを覗くと、たくさんの海藻と小さな生き物がいるのが見えるでしょう。
もっと海の方に近寄って砂のたまった水の底をみると、また何やら生き物がいるのが見えます。
ここではそんな砂地にひそむヒトデの一種クモヒトデをご紹介します。
彼らは私たちとは体のつくりが全く違いますが、私たちと同じように生きている生き物です。
彼らの生活は一体どんなものなのでしょうか?
彼らの生活スタイルをちょっと覗いてみましょう。
彼らも私たちと同じように食べて、飲んで、寝て、繁殖して、周りと調和したり競争したりして生活しています。
アカクモヒトデ
動物界
棘皮動物門
クモヒトデ綱
クモヒトデ目
フサクモヒトデ科
アカクモヒトデ属
アカクモヒトデの特徴
皆さんはヒトデと聞くと何を思い浮かべますか?
星型の平べったい生き物をイメージする方が多いのではないでしょうか?
このアカクモヒトデも星型といえば星型ですが、とにかく第一印象は「細い」です。
そして水族館で見かけるヒトデは動きがありませんでしたが、このクモヒトデの動きは素早く、あっという間に岩の下に隠れて見えなくなってしまいます。
いつも石の下に隠れていて、石をのけると慌てて5本の腕を上手に使って逃げていきます。
そして、捕まえようとすると自分で自分の足を簡単に切ってしまいます。後に残るには切れた足だけ・・・ということが普通に起こります。
アカクモヒトデの生態
アカクモヒトデは棘皮動物という仲間に分類されています。
棘皮動物とは、体の形に大きな特徴のある生き物の集まりです。
彼らの体は中心から放射状に5本の腕が伸びる腕を持つグループで、クモヒトデの他にウミユリ、ヒトデ、ウニ、ナマコが同じ特徴を持つ生き物として分類されています。
棘皮動物は世界で7400種確認され、そのうちクモヒトデは約2300種です。
クモヒトデは海底の砂の上にいたり、岩の下や隙間、泥にもぐったり、他の生き物にしがみついて生活します。彼らは潮間帯から深海にまでその生息範囲を広げています。
その中でもアカクモヒトデは、相模湾以南、西太平洋、インド洋海域の浅い海に生息する種類です。
体色は赤く、腕は長く5本あります。腕には白いストライプの縞模様が入り、長いとげが密生しています。体の中央の丸くて平たい盤状の体には、顆粒(かりゅう)と細かいとげで覆われています。体長は、腕を広げた状態で6~8cmほどになります。
アカクモヒトデは、夜行性で昼間は岩陰などに隠れています。夜は岩から出て活動し、食べ物となる動物を探します。食べ物は海底の有機物、プランクトン、小型の動物などです。
口は丸い盤の下側の真ん中にあり、短い食道につながり、袋状の胃が盤の中に広がっているだけで、腸や肛門はありません。
アカクモヒトデは、再生能力が高い動物です。腕が切断されても再生することができます。
クモヒトデは英語で bruttle star 壊れやすい星、と呼ばれ、クモヒトデを捕まえようとしても腕を自切してしまうことから名付けられました。
アカクモヒトデの生態
- 生息場所 相模湾以南、西太平洋、インド洋海域の浅海
- 体色 赤色
- 形態 腕は長く5本、盤は丸い
- 体長 腕を広げた状態で6~8cmほど
- 活動時間 夜行性
- たべもの デトリタス、プランクトン、小型の動物
- 特徴 再生能力が高い
アカクモヒトデを観察しよう!
アカクモヒトデを観察してみましょう!
アカクモヒトデは海洋生物で、普通は岩場や砂底に生息しています。
- 生息場所を探す
アカクモヒトデが生息していそうな場所、例えば岩場のある海岸へ行ってみましょう。 - 潮の満ち引きを確認する
アカクモヒトデは潮の満ち引きによって活動するので、観察するタイミングを選びます。通常、干潮時には岩場や浅瀬に露出しているので干潮1時間前後が良いです。
潮干狩りや釣りに最適な潮汐・潮見表カレンダー 潮MieYell - 石の下を探す
アカクモヒトデは石の下に隠れているので、手のひらサイズの石があったらゆっくりとひっくり返してみましょう。 - 観察
アカクモヒトデの外観や行動を観察しましょう。色や模様、触手の動きなどに注目してみてください。 - メモを取る
観察した内容や発見したことをメモに残すと、後で振り返る際に役立ちます。写真を撮ることも忘れずに。 - 注意
海洋生物を観察する際には、生息地の保護や安全を守ることが重要です。周囲の生態系に与える影響に配慮しましょう。
これらの手順に従って、アカクモヒトデを観察すると、その生態や振る舞いについて興味深い情報を得ることができるでしょう。
アカクモヒトデは、美しい体色を持った再生能力の高い動物です。浅海の磯などで見ることができますので、ぜひ観察してみてください。
参考文献
日本動物大百科 平凡社
ヒトデ・ウニ・ナマコを観察しよう 千葉県立中央博物館分館 海の博物館