となりの生き物

身近なスズメのはなし 

見上げるスズメ

スズメは私たちの身近にいる鳥です。
ちょこちょこよく跳ねたり、飛んだりしています。

けれど、よく見たこともない・・・・
という方も多いと思います。

そこでクイズをご用意いたしました。
スズメは A B C どれでしょうか?

カワセミ

A

すずめ

B

シジュウカラ

C

正解は B です! 
正解しましたか?

Aは、かわせみ 
Cは、しじゅうからでした。

ここではそんな身近に住むすずめについてお話します!
スズメはどんな暮らしをしているのでしょうか?

スズメの生態

スズメは、私たち人間ととても身近な鳥で、その可愛い姿や鳴き声から親しまれています。
今回は、そんなスズメの生態について、詳しく解説していきます。

スズメの特徴

  • 大きさ
    約14~15cmと比較的小さい鳥の仲間です。
    日本ではスズメは人家の近くに住むので、私たちにとても馴染みのある鳥です。
    そこで、その大きさは他の鳥の大きさを測る際の基準となっています。
    例えば、スズメよりちょっと大きいとかスズメと同じ大きさの鳥などと言ったります。
  • 見た目
    頭が赤茶色、背中は茶色、お腹は白いのが特徴です。
    口のまわりから喉元にかけて黒いので髭のように見えます。
    羽の色は茶色と黒の縞模様です。
  • 鳴き声
    チュンチュン」という鳴き声でよく知られています。
  • 分布
    世界中に広く分布しており、日本でも都市部から農村部まで、どこでも見ることができます。

スズメの生活

  • 群れ
    スズメは群れで生活することが多く、数十羽から数百羽の群れを作ることもあります。
  • 食性
    雑食性で、植物の種子(特にイネ科の種子)、昆虫、果実など、様々なものを食べます。
    都市部では、パンくずやお菓子の屑なども食べます。

  • スズメは、木の洞や建物の隙間、電柱などに巣を作ります。
  • 繁殖
    繁殖期は春から夏にかけてで、年に数回巣を作ります。巣は枯れ草や小枝などを集めて作ります。

スズメの足

スズメの足は、小さくて細長い構造をしています。
スズメは休むときは、木の枝や電線などに止まるので、足の形は枝などに、止まりやすい「止まり足(とまりあし)」と呼ばれる特徴があり、自然に枝などにしっかりとつかまることができます。

  • 4本の指
    スズメの足には、前に3本、後ろに1本の指が伸びています。
    この配置は木の枝などを、しっかりとつかむことができます。
  • 指の爪
    指先には鋭い爪があり、これが枝や細い場所にしっかりと引っかかるようになっています。
    爪の形状は曲がっており、止まることが容易です。
  • 止まり機構
    スズメを含む多くの鳥は、しゃがむと指が自然に筋肉が縮み、爪がしっかりと枝に引っかかるようになっています。なので、無石工になって寝ていても、足がゆるむことなく、枝にとまっていることができます。

スズメはこの足の構造を利用して、木の上や電線の上で休んだり、つかまってイモムシや昆虫のたまごなどの餌を探すことができます。
また、地面でも跳ねるように移動することが多く、これは短い足の利点を活かしています。

電線を前3本と後ろ1本でしっかりつかむ
すずめの足跡
すずめの足跡

すずめのくらし

すずめは北は北海道、南は沖縄まで上野駅のホームのすきまから、日光中禅寺湖まで広く生息しています。

スズメが人の近くにいる理由は2つ考えられています。

  • カラスやイタチ、ヘビなど科の天敵から体を守るために人を利用している
  • 人工物が巣をつくるのに適しているから

などが言われていますが、実は本当の理由は良く分かっていません

日本のスズメはユーラシア大陸全体に生息しています。
スズメはヨーロッパにも住んでいます。
ヨーロッパに住む日本と同じ種類のスズメは、人の近くではなく森で暮していて日本の暮らし方とは違うのです。

すずめの巣と子育て

すずめは藁や枯草を集め 20㎝くらいの丸い巣をつくります。
巣は子育てするだけの仮の住まいで、ひなが大きくなって巣立てば、もうひなは巣に戻ってきません。
巣は再び使われることはありますが巣で眠ったりすることはありません。

ワラをくわえるスズメ
巣の材料の藁をくわえるすずめ

巣作りはまだ肌寒い 3月ごろから始まります。
建物のすきま、配管のなか、煙突、鉄骨のすきまなど3㎝程度のすきまなら入り込めます。
巣の材料は枯草、小枝などを使って土台をつくり内装に犬や猫の毛、鳥の羽を敷いて完成です。

桜が咲く4月ごろから産卵が始まり、1日ひとつ産んでゆき、だいたい5個くらいの卵を産みます。
卵は青みがかった白に黒い斑点もようの付いた2cmほどの大きさです。

2週間ほどでひなが孵り、さらにもう2週間ほどするとひなは巣立ちます。
ひなは巣立ってからしばらくは親と一緒に生活し、エサの取り方や天敵から身を守る方法などを教わります
自分のことが一人で出来るようになれば親からの保護はなくなり独り立ちします。

秋になるとすずめは、竹やぶや林また街路樹に集まり群れをつくって行動します。

スズメが群れをつくる理由は次の3つがよく言われています。

  • 集まることで体温低下を防ぐ
  • 明日のえさ場のさがしやすさ(知っている仲間について行けばよい)
  • 天敵から身を守る

などが考えられていますが、もしかしたら他の理由があるかもしれません。

皆さんはどう思いますか?

すずめのポッピング

すずめを眺めていると、両足をそろえてジャンプしながら移動することがあります。
この歩き方は「ホッピング」と呼ばれ、スズメやムクドリ、キジバトなどによくみられる歩き方です。

スズメはなぜホッピングといった、ジャンプしながらの移動をするのでしょうか?

よく言われるのは、「スズメは足をそろえていたい説」です。
スズメは、木の上で生活することが多く、足をそろえている時間が長いです。
もし、枝から枝へ飛びうつりたいときに、片方づつ足を出すよりも、ホッピングしてしまった方が効率的に移動できる。

そして、地面移動するときも歩くようにして、左右の足を片方づつ出すよりも、ホッピングした方が早く移動できる、という説があります。

けれど、ポッピングは筋肉を使って移動するので疲れやすいことや、ホッピングと歩くのでは関節の角度がほとんど違わないので、枝の間を移動するとき効率が良いとは言えないとも言われています。

スズメがなぜホッピングをよく利用するのかは専門家でも、はっきりとした答えがでていません。

スズメの歩き方の違いは、単なる行動の違いではなく、長年の進化によって培われた、環境への適応の賜物です。今後それぞれの鳥の歩き方の違いの理由が分かれば、鳥たちの生活や新しい進化の常識が見つかるかもしれません。
今後の研究に期待したいですね。

参考文献 化石研究会誌 鳥とヒトの二足歩行

スズメの観察のポイント

スズメは身近な鳥ですが、観察するにはいくつかのポイントがあります。

場所

  • 公園、住宅街、田んぼ、河原など、スズメがよく見られる場所を選びましょう。
  • スズメは餌場によく集まるので、餌台を設置するのも効果的です。

時間帯

  • スズメは早朝と夕方によく活動します。
  • 特に繁殖期である春と夏は、子育ての様子を観察しやすいでしょう。

服装

  • 目立たない色の服装を心がけ、静かに動きましょう。
  • 双眼鏡があると、遠くのスズメを観察することができます。

その他

  • スズメに餌を与えたり、触ったりするのはやめましょう。
  • 巣を見つけた場合は、そっと離れて観察しましょう。
  • 観察記録をつけることで、スズメの生態をより詳しく知ることができます。

スズメは私たち一番身近にいる鳥なので、じっくり観察することができます。
見ていると、壁にぶつかって転がったり、仲間と餌を奪い合ったり、ひょうきんな姿をみせてくれることもあり、とっても楽しいです!

ぜひあなたもスズメと仲良くなってみませんか?

3匹のすずめ

参考文献

すずめの謎 三上修 誠文堂新光社
にっぽんすずめ散歩 ポンブラボ編 株式会社カンゼン
野鳥の事典 清澄幸保 東京堂出版
鳥の形とくらし 我孫子市鳥の博物館
       

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