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均衡点ってなんだろう

均衡点ってなんだろう

前々回と前回で需要、供給の意味を解説してきました。
需要と供給は、あるモノの「価格」と「量」のことでした。需要は価格が高いと量がすくなくなり、逆に供給は価格が高くなると量が少なくなるいう逆の関係を持っています。

ここでは需要と供給の2つがどのようにかかわっているのか見ていきましょう。

需要と供給の関係は、私たちの身近な野菜や卵、不動産の価格だけではなく、時給や給料の値段にも関係していますし、国と国の通貨のやり取りも同じように考えることができます。この2つの関係を理解できれば、モノの値段が変化したとき「どうして変化したのか?」を感情的にならず、自分の頭で筋道立てて考えることができます。

市場経済では価格は均衡点に向かう

では、実際に需要と供給はどのようにかかわっているのでしょうか?
ここではおいしい桃を例にして考えてみましょう。



まず桃がとても安い価格になっているとします。
安い価格になっていると生産者は、桃を売っても儲からないのでだれもつくろうとせず、世の中に出回る桃の量が少なくなります。
けれど需要、つまり買いたい人たちは多くなります。桃が安く買えるなら、買いたいと思う人がたくさん出てくるからです。
世の中に出回っている桃の量が少ない状態で、欲しい人それ以上にいると、ゆっくりその価格が上がっていきます。すると以前より儲かるかも・・・と思う農家さんが現れて桃をつくり始めるのでゆっくり供給量が増え始めます。

図に表すと下のようになります。

  • 価格が安くなっていたとします。
  • 安いから作りたい人が少ないけど、安いから買いたい人が多い
  • 価格が上がると作りたい人が増え、高いから買いたい人が減る


このように、少なかった供給量が増え、多かった需要量が減ってくる・・・を繰り返すと、やがて需要量と供給量がぴったり一致する点、線が交わったところ「均衡点」にたどり着きます。

ちょうどよい状態が均衡点

需要と供給が「均衡点」にあるときは、あるモノが効率よく欲しい人の手に渡り、売れない在庫が増えて無駄にならず、余計なエネルギーを使っていない、効率の良い状態になっています。
それに、ないものに対して無駄に需要が高まることもありません。

たとえば、先ほどの例とは逆に桃の値段が均衡点より高い状態にあるとします。
これは作りたい人がたくさんいて、欲しい人が少ない状態のことを表しています。この状態は、せっかく作ったものが売れずに残り、倉庫に積みあがっていきます。作った方としては在庫を早く処分しなければいけないので、人々が欲しいと思う価格まで下げざるを得ません。

桃の場合は、日本の桃って他の果物と比べて本当に高いですよね? 均衡点がおかしい状態なのでしょうか?
あれは高い位置が均衡点になっています。桃の価格が高くても買いたい人がたくさんいるから均衡点が他の果物よりも高い位置でキープできています。今の生産量なら他の果物よりも手間をかけている以上に生産者への見入りがいいですし、値段も高く設定できています。


市場経済においては、価格は均衡点に向かって引き寄せられていきます。けれどいつも均衡点にあるわけではありません。均衡点については経済学者の間でもさまざまな議論があります。
ゆっくり均衡点に向かうといってもそれはどのくらいの時間がかかるのか? いつもは均衡点にどのくらい近い位置にあるのか? 市場価格が均衡点を超えるのはどんなときなのか? 多くの人を納得できる答えはまだ見つかっていません。

ものの均衡点を理解することは私たちの暮らしを安定させるために大切です。
たとえば日本でもバブルが起きましたが、古くはオランダやアメリカでもバブルは起こっています。バブルがはじけると銀行が破綻するなどして多くの人々が生活できなくなります。そのためどんなときに均衡点から外れた価格になるのか、その反動がいつくるのか均衡点の動きを理解しておくことは、とても重要なのです。

あらゆる価格を理解できる

また線そのものが動くとき、需要や供給の曲線そのものが移動することがあります。

また桃で考えてみましょう。
全体的な所得が上がると桃の需要が上がります。
需要曲線が右にシフトして均衡点の位置が変わり、それまでの価格より高い位置が均衡点になります。
逆に天候不順で桃が不作になると桃の供給が減ります。
供給曲線が左にシフトして、以前より価格が高い位置で均衡します。

このように需要曲線と供給曲線が移動したとき何が起こるのかが分かれば、それが桃じゃなくてもお金が絡んだときは、いつでもこの関係が使えるので、価格についての理解がもっと深めることができます。

まとめ

需要曲線と供給曲線について解説しました。
需要と供給は価格とそのものの量が、反対の関係にあります。この2つが交わるところは価格と量のちょうど良い状態を示す均衡点です。

需要が増えるときつまり、人口が増えたり、所得が上がったり、ブームがくると需要が増え曲線は右にシフトして価格を押し上げます。逆に人口が減ったり、税金が増えて所得が減ったり、ブームが去ると需要は減って曲線が左にシフトして価格が下がります。

供給が増えるときつまり、新しい技術が生まれたり、天候が良くなったり、石油が安くなれば供給が増えて曲線が右にシフトして価格を押し下げます。
逆に他の国で新しい技術が生まれて顧客をごっそり奪われたり、天候が悪くなったり、石油が高くなれば供給が減って曲線は左にシフトして価格が上がります。

この考え方を使えば、国や時代が違っても、どんなものにも価格の動きを理解することができます。

参考文献

ティモシー・テイラー 経済学入門

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