となりの生き物

海の野ウサギ アメフラシ

アメフラシ

皆さんは海岸の潮だまりで、ふんにゃりとした、ゴムボールのようなものを見たことはありますか?

たぶんそれはよーく見るとアメフラシという生き物かもしれません。

ゴムなのか生き物なのか良く分からないくらい、不思議な体をしているので気味が悪いかもしれませんが、よく見ると愛嬌のある楽しい生き物です。また最新の研究では、このアメフラシのもつさまざまな能力が人の医療に役立つことが分かってきました。

ここではアメフラシについて、楽しく学べる情報をいくつかご紹介します!
ぜひご覧ください

アメフラシ

動物界
軟体動物門
腹足綱
異鰓目
アメフラシ科

アメフラシってどんな生き物?

  • 海にすむ、ナメクジのような体を持つ軟体動物の一種です。
    体長は10~30cmくらいになる個体もあり、軟体動物の中では大型の生き物です。
    体の色は黒っぽい紫色に白い斑点模様が体全体にあります。
  • アメフラシは貝の仲間で貝殻をもっています。
    ただ彼らのもつ殻は小さくて薄く、背中にある外套膜の中にあるので外からは見えません。
    外套膜の中にはエラや内臓などの臓器があります。
  • 頭部には2本の触角があり、その根元に目があります。
  • 体に毒をもち、さらに毒の煙幕を吐くことができます。
    捕食者への防御力が高いので、素早く動く必要がないので動きはゆっくりです。

アメフラシの名前の由来

  • アメフラシの名前の由来には、いくつか説があります。
    • 紫色をした液体を出すため、それが雨雲に見立てられたという説。
    • 雨が降ると岩場に集まるためという説。
    • 背中の模様が雨雲に似ているという説。
  • アメフラシは英語や中国語でも sea hare 海の野ウサギと呼ばれています。アメフラシの長い触覚がウサギの耳に似ているため、そう呼ばれています。

アメフラシの生態

  • アメフラシは、海藻類を主食としています。
  • 敵に襲われると、紫色の液体を噴射して身を守ります。この液には、麻痺作用や催吐作用があるとされています。
  • 卵は、麺のような長いひも状の中に卵を包んで産みます。このは「ウミゾウメン」とも呼ばれ、数千個もの卵が入っています。産卵直後は鮮やかな黄色をしていますが、時間がたつと褐色がかってきます。
  • アメフラシは、雌雄同体です。つまり、一つの体でオスとメスの両方の役割を果たすことができます。

アメフラシは食べられますか?

はい、アメフラシは食べられます。日本では一般的には食用ではありませんが、鹿児島県の徳之島や島根県の隠岐島などでは、昔から食べられています。

食べ方

  1. アメフラシの内臓を取り除きます。
  2. 沸騰したお湯で茹でて、水気を切ります。
  3. 一晩水にさらして、臭みとぬめりを抜きます。
  4. 水気を切って、食べやすい大きさに切ります。

調理例

  • 酢味噌和え
  • 煮付け
  • 炒め物
  • 天ぷら

味と食感

  • 味自体はあっさりとしていますが、歯ごたえがしっかりしています。
  • 少し海藻の香りがします。

注意点

  • アメフラシは海藻を食べて生きているので、海藻の毒が蓄積されていることがあります。
  • 調理法を知らない場合は、食べないでください。

アメフラシからわかった研究の数々

アメフラシに関する研究は、様々な分野で活発に行われています。

神経科学

  • アメフラシは、比較的大きな神経細胞を持っているため、神経科学研究において重要なモデル生物として利用されています。近年では、アメフラシの神経系を用いて、記憶学習のメカニズムを解明しようとする研究が進んでいます。
  • 例えば、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、アメフラシの神経細胞を用いて、長期記憶の形成に関わる遺伝子を同定しました。この研究成果は、アルツハイマー病などの記憶障害の治療法開発に役立つことが期待されています。

再生医療

  • アメフラシは、高い再生能力を持っていることで知られています。近年では、アメフラシの再生能力のメカニズムを解明し、再生医療に応用しようとする研究が進んでいます。
  • 例えば、京都大学の研究チームは、アメフラシの遺伝子をマウスに移植することで、損傷した組織を再生することに成功しました。この研究成果は、将来的に、心筋梗塞や脳卒中などの治療法開発に役立つことが期待されています。

海洋生物学

  • アメフラシは、海洋環境の指標生物としても利用されています。近年では、アメフラシの個体数や分布状況を調査することで、海洋環境の変化を把握しようとする研究が進んでいます。
  • 例えば、東京大学の研究チームは、アメフラシの個体数と分布状況を調査することで、地球温暖化の影響を評価しました。この研究成果は、地球温暖化対策の策定に役立てられています。

その他

  • アメフラシの紫色の液は、抗菌作用抗炎症作用を持つことが知られています。近年では、これらの特性を生かした医薬品化粧品の開発が進んでいます。
  • また、アメフラシのは、バイオ素材として利用される可能性も研究されています。

これらの研究成果は、アメフラシの理解を深め、様々な分野での応用可能性を示唆しています。今後も、アメフラシに関する研究はさらに発展していくことが期待されています。

アメフラシに会える場所

  • アメフラシは、潮間帯に生息しています。
  • 特に、アマモ場や磯などの海藻が多い場所でよく見られます。
  • 実際にアメフラシを観察したい場合は、磯遊びなどに参加するといいでしょう。

アメフラシを観察する際の注意点

  • アメフラシは、刺激を与えると紫色の液体を噴射します。この液は、皮膚に付着すると刺激を感じる場合があるので、体についてしまったらなるべく早く洗い流すようにしましょう。
  • アメフラシを観察する際は、ゴム手袋などして直接触らないようにしましょう。
  • また、アメフラシは食用としても利用できますが、許可なく採取することは地域によっては違法です。

まとめ

アメフラシは、見た目もユニークで、生態も興味深い生き物です。
海辺を訪れた際には、ぜひアメフラシを探してみてくださいね。

参考文献

磯の生き物図鑑 トンボ出版
日本動物大百科 平凡社
東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部 (u-tokyo.ac.jp)
京都産業大学 (kyoto-su.ac.jp)
University of California San Diego (ucsd.edu)

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RP:株式会社イワミズ

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