夏になると食べたくなるスイカ
赤い色をした切り口と点々とつく黒い種が印象的な果物ですよね。
スイカをモチーフとした雑貨や洋服などもあって、とても人気があります。
みなさんはスイカはいつごろから食べられていたかご存じでしょうか?
弥生時代ぐらい?
江戸時代?
考えたこともない・・・・
実は、スイカは紀元前4000年頃からエジプトなどで利用され、中国を渡って日本に来たと言われています。いつ日本に伝わったのかは良く分かっていませんが、鳥獣戯画にスイカのような縞模様の丸いくだものを運ぶウサギが描かれているため、スイカは平安時代にはもう日本に入ってきていたのではないかと言われています。
ここではそんな謎の多いスイカの歴史とスイカが甘い果物になった理由も見ていきましょう。
スイカは水分も多く、ミネラルがたっぷりです。暑い夏に食卓に添えれば火照ったお肌にもやさしいですし、気分も爽やかになります。スイカのことをもっと知って日々の生活に取り入れて美容と健康にお役立てください。
スイカの原種
スイカは、ウリ科スイカ属の一年草で、原産地はアフリカの砂漠地帯です。
アフリカにウリ科の植物は何種類かありますが、スイカの原種ははっきりと分かっていません。アフリカの野生のスイカは、果肉が黄色く、苦く、種が多いので、生で食べずに丸ごと煮たり、種を炒ったりして食べています。
スイカがはっきりと育てられたことが分かる資料は、エジプトの壁画にあります。古代エジプトにはスイカのような細長い縞模様のくだものが描かれた壁画が残されています。
スイカが赤くなったわけ
真っ赤な果肉が食欲をそそるスイカですが、野生のスイカの果肉は黄色や白色でした。
では、スイカはいつ甘くて赤い色をもつ果物に変わったのでしょうか?
実は、古代エジプトのミイラのまわりに飾ってあった副葬品のDNAを調べることでそれが分かりました。
ドイツのミュンヘン大学の植物学者スザンネ・レナーとイギリスのキュー植物園のチームは、3500年前の墳墓から保存状態の良いスイカの葉が見つかったことから、その葉のDNAを調べてみました。
すると、当時のスイカはすでに苦みを抑えるDNAを持ち、また赤い色のリコピンを蓄積させるDNAを持っていることが分かったのです。つまりスイカはおよそ3500年前に突然変異によって苦みがない、赤い果肉を持つ果物になっていました。
スイカの赤い色はリコピンという色素が関係しています。
リコピンはカロテノイド色素の一種で、強い抗酸化作用を持っています。そして紫外線の光エネルギーを吸収することもできます。
紫外線はDNAを傷つけ、植物にとって有害です。
もし、リコピンを持っていれば自身の持っている大切なDNAの損傷を防ぐことができて、自分の体を紫外線から身を守ることができます。
そのため、スイカはこの偶然起こった有利なDNAの変異を定着させ、スイカは赤くて甘い果物になることができました。
その後、人間が甘いスイカを求めて品種改良を行って、より甘いスイカ、より赤い果肉の多いスイカになるように品種改良が進められ今のスイカになったのです。
つまり、スイカの赤い色は自然淘汰の結果と人々が品種改良してきた結果なのです。
ちなみに、黄色いスイカにもキサントフィルという色素が含まれており、栄養価も豊富です。近年では黄色いスイカも人気が高まっています。
スイカの食べ方
夏になったら果物売り場にたくさん並ぶスイカですが、
水分ばかりで栄養がなさそう・・・
季節に一回くらいはなんとなく食べてもいいかな・・・
と思われる方多いかもしれませんが、スイカには美容と健康に役立つ成分が豊富に含まれているのでご紹介します。
栄養
- スイカは92%が水分でできているため、夏場の水分補給に最適です。
- カリウム、ビタミンC、ビタミンAなどのビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
- カリウムは血圧を下げ、むくみを解消するのに役立ちます。
- ビタミンCは免疫力を高め、コラーゲンの生成を助けます。
- ビタミンAは目や皮膚の健康に不可欠です。
- スイカの皮には、血流を改善し、運動能力を高める効果が期待できるシトルリンというアミノ酸が豊富に含まれています。
- 種にはマグネシウムが豊富に含まれています。マグネシウムはエネルギー産生、神経機能、DNAやタンパク質の合成、血圧調節に重要な役割を果たします。
健康
- スイカに含まれる抗酸化物質は、老化や病気の予防に役立ちます。
- スイカは利尿作用があり、むくみの改善に役立ちます。
- スイカは消化が良く、胃腸に優しい果物です。
- スイカはエネルギーの源となる天然の糖分が豊富なので体力の落ちる夏に最適です。
他にもこんな効果があります!
- スイカは低カロリーなので、ダイエット中の方にもおすすめです。
- スイカはリフレッシュできる爽やかな味なので、暑い日にぴったりです。
- スイカの皮は漬物にして食べることもできます。
スイカを選ぶコツ
- 重いスイカを選ぶ
- 表面の縞模様がはっきりしているスイカを選ぶ
- 触ると表面が少しざらざらしたものを選ぶ
- 丸いものを選ぶ
スイカの保存方法
- スイカは丸ごと冷蔵庫に入れると、3~4日間保存できます。
- カットしたスイカはラップで包んで冷蔵庫に入れ、2~3日以内に食べる。
- スイカの皮は、冷蔵庫で2~3日間保存できます。
すいかは収穫から日数が経つにつれ、肉質が劣化し、シャリっとした歯ざわりがなくなってきてしまいます。買ってからすぐに冷やして早めに食べましょう。
また、冷蔵庫での冷やし過ぎや冷凍は味が悪くなってしまいます。スイカの保存は10℃くらいが保存には適しているので野菜室の奥に入れると良いでしょう。
スイカの旬は7月から8月です。この頃になると甘くて美味しいスイカがたくさん出回ります。水分が豊富で甘く、栄養価の高いスイカをぜひ夏の間たくさん食べて健康的な生活を送ってください。
参考文献
スイカ、知られざる5000年の歴史 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
ミイラの墓から採取されたDNAが古代エジプトのスイカの起源を解明 |ニューサイエンティスト (newscientist.com)
知識の宝庫!目がテン!ライブラリー (ntv.co.jp)
スイカ - Wikipedia
すいか 西瓜 産地 野菜 栄養 機能性 調理 (alic.go.jp)
エグシメロンの畑 : アフリカに「思いやり」 (exblog.jp)
奈良農総セ研報 浅尾浩史 (pref.nara.jp)