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マンゴーの王様アルフォンソ

マンゴー

皆さんはマンゴーはお好きでしょうか?
日本では生マンゴーはあまり見かけず、ドライフードになったものや、ジュース、プリンなどの加工品が良く販売されています。美しいオレンジ色の果肉と濃厚な甘みと香りは、日本だけではなく世界中で人気のある果物です。

マンゴーの栽培は世界各地の暑い地域で行われていますが、日本でも九州や沖縄で栽培されています。特に宮城県では、マンゴー栽培が盛んで、手をかけて育てた高級マンゴー「太陽のたまご」は、一つ1,000円以上で販売されています。スーパーなどで見かけるマンゴーは、主にメキシコ、フィリピン、またタイなどから輸入したものです。

マンゴーの原産地はインドで、その収穫量も世界一位です。

インドではマンゴー栽培が盛んにおこなわれています。
インドではマンゴー栽培に適した気候の土地が多くあり、比較的栽培しやすいので、価格も安く、人々の身近な果物です。インドのマンゴーはたくさんの種類がありますが、その中でも一番おいしいとされるのが「アルフォンソ」という品種のマンゴーです。お値段は日本のリンゴ並みなのに、そのお味は日本の高級種に近いと言われています。

また、インドの人々にとってマンゴーは、大昔からとても身近な果物だったので、ヒンドゥー教や仏教にも大きな影響を与えています。

インドの神様も召し上がるマンゴー・・・
なにか不思議な魔力が授かりそうですが、そんなマンゴーについて最新の研究を交えて解説します!

マンゴーの特徴

マンゴー(Mangifera indica)は、熱帯や亜熱帯の地域で広く栽培されている果物で、甘くてジューシーな果実が特徴です。

  • 学名:Mangifera indica
  • :ウルシ科(Anacardiaceae)

マンゴーはウルシ科に分類される樹木です。
ウルシ科の木は、中心部に樹脂または乳液が含まれるのが特徴です。

樹脂は毒性のあるものも多く、マンゴーには「マンゴール」と呼ばれる成分が樹脂だけではなく枝や葉っぱ、果実の皮などに含まれています。
このマンゴールが皮膚や舌に触れると、人によっては唇や舌、喉のかゆみ、蕁麻疹、赤み、腫れ、水ぶくれが起きます。もし、このような症状が現れたら、流水で患部を流して、石鹸で皮膚を洗いましょう。そして患部を冷やして保湿クリームを乾燥を防ぎます。

アレルギーのある人は一度症状が現れると、繰り返し起こりやすくなることがあります。マンゴーアレルギーのある人はマンゴーを食べるのはお控えください。

マンゴーの木

マンゴーの木は、高さ8〜10メートルほどの高木の常緑樹です。
条件が良いと40メートルを超えるまでになります。
葉は細長くクリの葉に似ていて色は濃緑色で、光沢がありつやつやしています。
マンゴーは、年間平均気温が24度から27度の地域で最もよく育ちます。

主な生産国にはインド、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、パキスタン、メキシコがあります。そのなかでもインドは世界最大のマンゴー生産国で、全世界の生産量の約45%を占めています。

マンゴーの

マンゴーの花は、房状にたくさん咲きます。色は薄いピンクが混ざったような黄緑色で、強い香りがします。

マンゴーの種

マンゴーの種は、何層もの皮に包まれた複雑な構造をしています。
なぜ、マンゴーの種が層の構造を持つのでしょうか?
その理由は次のような要因が関係しています。

  1. 種の保護
    種子の内部には胚が含まれており、この胚を外部の物理的な衝撃や害虫から守るために、堅い外殻や層構造になっています。種を層状にすることによって胚が損傷するリスクを減らすことができます。
  2. 水分保持
    層構造は、種子の内部に適切な水分を保持する役割も果たします。このことで、発芽に必要な湿度が保たれ、乾燥から守ることができます。
  3. 栄養供給
    各層には、胚が発芽する際に必要な栄養素が含まれています。これにより、発芽初期に必要なエネルギーや養分が供給され、健全な成長が促進されます。
  4. 環境適応
    層構造は、環境の変化に対する適応戦略の一部でもあります。異なる層が異なる環境条件(例えば温度や湿度)に対して異なる反応を示すことで、種子全体の生存確率を高めることができます。

これらの要因が組み合わさることで、マンゴーの種は層の構造を持つように進化してきたと考えられます。このような構造は、種子がより効果的に保護され、発芽の確率を上げることができます。

マンゴーの種の構造

  1. 一番外側の果皮(外果皮)
    • マンゴーの外側を覆う皮で、未熟な時は緑色ですが、熟すにつれて黄色や赤、オレンジ色に変わります。
    • 果皮は滑らかで光沢がありますが、一部の品種では少しザラつくこともあります。
  2. 中間にある果肉(中果皮)
    • 果肉はマンゴーの最も魅力的な部分で、ジューシーで甘い味が特徴です。
    • 色は品種によって異なりますが、通常は黄色からオレンジ色です。
    • 繊維質の多いものから滑らかなものまで、品種によって異なる特徴を持っています。
  3. 種(内果皮)
    • 果肉の中心に位置する硬い部分で、内部に種子である胚乳を包んでいます。
    • 内果皮は平たく、木質に近い繊維質で非常に硬くしなやかです。
内果皮を半分に割った状態
中に白い種子が入っているのが見える

マンゴーの利用

マンゴーの栽培に適したインドや、タイ、フィリピンでは、マンゴーの木を果物以外にも利用しています。

  • 木材
    マンゴーの木材は、淡黄色から赤褐色をしており、硬くて丈夫です。家具、楽器、工芸品などの材料として利用されます。また、木目はそれほども美しくないのですが、白っぽいラフな木目が装飾材としても人気があります。
    家具によくつかわれる木材について – KANADEMONO
  • 樹液
    マンゴーの樹液は、ウルシオールやマンゴールと呼ばれる物質が含まれています。これらの物質を適切に処理すれば、ワックスやコーティング剤などの材料として利用することができます。

  • マンゴーの葉は、乾燥させてお茶として飲むことができます。マンゴー茶には、抗酸化作用や美肌効果があると言われています。また、葉を煮出して作ったエキスは、虫よけや殺菌剤としても利用できます。

  • マンゴーの花は、芳香があり、観賞用として楽しむことができます。また、花を乾燥させてポプリなどに使うこともできます。
  • 街の並木として
    マンゴーの木は、日陰を作るのに最適です。また、剪定して様々な形に整えることもできるので、庭のシンボルツリーとしても人気があります。
  • 油の抽出
    一部の地域では、マンゴー種子から油が抽出され、化粧品や食用油として使用されます。マンゴー種子油は、保湿効果があり、スキンケア製品に使用されることがあります。

マンゴーの種から取れる油に関する最新の研究

マンゴーの種は、食用油や化粧品、医薬品などの原料として利用できる可能性を秘めた貴重な資源です。近年、マンゴー種子油に関する研究が盛んに行われており、その有用性について多くの発見がされています。

最新の研究成果

今後の展望

マンゴー種子油は、食用の油としてだけでなく、化粧品や医薬品の原料としても大きな可能性を秘めています。今後、さらなる研究が進められることで、マンゴー種子油の有用性がさらに明らかにされることが期待されます。

マンゴーの栄養

マンゴーには、βカロテン、ビタミンC、葉酸、食物繊維、カリウムなどを豊富に含んでいます。これらの栄養素は、次のような健康効果をもたらすとされています。

美容効果

  • βカロテン:抗酸化作用があり、シミやシワの発生を抑制し、美肌効果が期待できます。
  • ビタミンC:コラーゲンの生成を促進し、肌のハリや弾力を保ちます。

健康効果

  • 葉酸:赤血球の生成を助け、貧血予防に効果があります。また、胎児の神経管閉鎖障害を防ぐ効果も期待できます。
  • 食物繊維:腸内環境を整え、便秘解消やコレステロール値の低下に効果があります。
  • カリウム:体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、高血圧予防に効果があります。
  • マンゴーは、水分も豊富に含まれているため、夏バテ予防にも効果的です。
  • ビタミンB群やミネラルもバランス良く含まれており、疲労回復や免疫力向上にも効果が期待できます。

注意点

  • マンゴーは糖質も多く含まれているので、食べ過ぎには注意が必要です。
  • 完熟していないマンゴーは、胃腸を刺激することがあるので、食べる前にしっかりと熟してから食べるようにしましょう。

マンゴーの選び方

  • 完熟しているマンゴーは、皮に弾力があり、全体的に赤くなっています。
  • 軸の部分が緑色になっているものは、完熟していない可能性があります。
  • マンゴーを軽く押してみて、少し柔らかいものの方が完熟しています。

インドに学ぶマンゴーの食べ方

マンゴーの原産地でもあり、世界最大の生産量をもつインドではさまざまな料理にマンゴーを贅沢に使用しています。インドの人たちはマンゴーをどのように食べているのでしょうか?

  1. 食べかた
    • 生食
      完熟したマンゴーはそのまま食べるのが一般的です。特に夏の季節には新鮮なマンゴーが市場に出回ります。
    • アムラス(Aamras)
      マンゴーをピューレ状にして砂糖とスパイスを加えたデザート。パンやチャパティと一緒に食べることが多いです。
    • マンゴーラッシー
      ヨーグルトとマンゴーピューレを混ぜた飲み物。甘くてクリーミーで、暑い日に最適です。
    • アチャール(ピクルス)
      生のマンゴーを使ったピクルス。スパイスとオイルで漬け込まれたものが一般的です。
    • マンゴーチャツネ
      甘くてスパイシーなソースとして、カレーやスナックと一緒に食べられます。
  2. 料理
    • マンゴーカレー:特に南インドでは、生のマンゴーを使ったカレーが作られます。
    • デザート:マンゴープリン、マンゴーアイスクリーム、マンゴーケーキなど、様々なデザートに使用されます。
  3. 保存食品
    • マンゴーパルプ:マンゴーをピューレ状にして保存し、オフシーズンに使用されます。
    • 乾燥マンゴー:スライスして乾燥させたマンゴーは、スナックとして人気があります。

インドではマンゴーが安く手に入りやすいため、いろいろな料理に利用されているのが分かります。
さらに、マンゴーはそのおいしさから宗教の題材としても使われ、たくさんの伝説が受け継がれています。

ヒンドゥー教とマンゴー

ヒンドゥー教において、マンゴーは非常に重要な象徴とされています。
宗教的儀式や神話、日常生活において様々な形で使用され、その存在はヒンドゥー教文化に深く根ざしています。

  1. プージャ(Puja)
    マンゴーの葉は、ヒンドゥー教の儀式であるプージャにおいて神聖なものとされています。
    祭壇や神像の装飾に使われることが多く、特にマンゴーの葉で作られた「トーラナ」と呼ばれるガーランドは、儀式の場を浄化し、神々の祝福を招くと信じられています。
  2. マンゴーの果実
    マンゴーの果実は、神々への供物として捧げられることがあります。特に収穫祭や収穫期の祝いの際に重要です。
  3. 神話と伝説
    マンゴーはヒンドゥー教の神話や伝説にも頻繁に登場します。
    例えば、愛と豊穣の女神ラクシュミは、しばしばマンゴーの果実を持って描かれることがあります。また、ガネーシャの象徴としても、マンゴーの葉や果実が使用されます。

マンゴーにまつわるお祭り

  1. ヴァラマハラクシュミ(Varalakshmi Vratham)
    この祭りでは、マンゴーの葉が重要な装飾品として使用されます。豊穣と繁栄を象徴し、女神ラクシュミの祝福を求めるために、家庭や寺院でマンゴーの葉が吊るされます。
  2. ウガディ(Ugadi)
    南インドの新年を祝うウガディでは、マンゴーの葉が新しい始まりを象徴するために使用されます。家の入口や祭壇にマンゴーの葉を飾ることで、家族の幸運と繁栄を祈ります。

芸術と文学

  1. 詩と文学
    インド文学や詩の中で、マンゴーは愛や美、豊かさの象徴として描かれています。特に古典文学では、マンゴーの花や果実が重要なモチーフとして頻繁に登場します。
  2. 絵画と彫刻
    ヒンドゥー教の美術作品において、神々の手にマンゴーの果実が描かれることがあります。これは神聖さと豊かさを象徴しています。

マンゴーは、ヒンドゥー教において神聖で多用途な象徴とされており、宗教的儀式から日常生活、芸術に至るまで広範な影響を及ぼしています。その存在は、ヒンドゥー教徒にとって文化的および精神的にとても大切な樹木なのです。

マンゴーの王様 アルフォンソマンゴー

そんなマンゴーの豊富なインドでも最高級と言われるのが「アルフォンソマンゴー」です。

アルフォンソマンゴー(Alphonso mango)は、インドを代表する高級品種のマンゴーで、世界的にも高い評価を受けています。その豊かな風味、滑らかな食感、鮮やかな色が特徴で、しばしば「マンゴーの王様」と称されます。
アルフォンソマンゴーはどんなマンゴーなのか見ていきましょう。

  1. 風味と食感
    アルフォンソマンゴーは非常に甘く、濃厚な香りがあります。独特のバターのような滑らかな食感と、ほのかな酸味が絶妙に調和しています。
  2. 外観
    • 果実は中型から大型で、成熟すると鮮やかな黄色に変わります。一部の果実には赤みがかかることもあります。
    • 果皮は薄く、滑らかで光沢があります。
  3. 果肉
    鮮やかなオレンジ色で、繊維質が少なく、非常に滑らかです。

アルフォンソマンゴーの原産地と栽培

  1. 原産地
    アルフォンソマンゴーはインド西部のマハーラーシュトラ州のラトナギリ、シンドゥドゥルグ、およびデカン地方で主に栽培されています。
  2. 栽培条件
    • 温暖で湿潤な気候を好み、適度な降雨が必要です。
    • 土壌はよく排水され、肥沃であることが求められます。

アルフォンソマンゴーの収穫期は主に4月から6月にかけてで、これがアルフォンソマンゴーのシーズンとされています。この時期には市場に多くのアルフォンソマンゴーが出回ります。

インドでは、マンゴーのシーズンは多くの人々にとって楽しみな時期であり、アルフォンソマンゴーは特にそのシーズンの象徴的な果物です。その高い品質と豊かな風味から、インドだけでなく世界中で愛されているマンゴーの一品種です。

日本では、生のアルフォンソマンゴーを手に入れるのは難しいですが、加工されたジュースやプリン、ドライフルーツなどのアルフォンソマンゴーは見かけます。

ぜひ、マンゴー製品をみかけたらアルフォンソ種が使われているかチェックしてみてください。きっとそのおいしさに驚くはずです!

まとめ

マンゴーについて解説しました。
マンゴーの原産地はインドで、その栽培量もインドが世界一です。そのほかにもタイやフィリピンなどでも栽培されています。

また、日本でも宮崎県や沖縄県で栽培がおこなわれています。日本での栽培は受粉の関係からビニールハウス内で行われているため、価格が高価になりがちです。海外では野外で栽培できるため価格が安く抑えることができます。

マンゴーは普通10mほどの大きさになりますが、条件が良いと40m物大木になり、木材としても利用されます。種子から取れる油は抗酸化作用と、抗菌作用があり商業利用の研究が進んでいます。

インドでは身近な果物のため、宗教とも結びつきが強く、マンゴーとヒンズー教の神様のさまざまな逸話やお祭りがありました。

濃厚な甘さと香りと、ねっとりとした食感のおいしいマンゴーにはビタミンや食物繊維が多く体の調子を整えるとともに美容にもいい成分がたくさん入っています。

日本マンゴーの高級品は「太陽のたまご」です。その形の美しさ、熟成の度合いなど厳しい基準を満たすものだけが、そのブランド名を名乗れます。そしてインドではマンゴーの王様といわれる「アルフォンソ」が太陽のたまごに匹敵するほどのおいしさといわれています。

芳醇な香りと甘みを持つマンゴーを楽しんで健康を維持しませんか?

参考文献

マンゴーミニ事典 | 国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター | JIRCAS
果物ナビ (kudamononavi.com)
知られざるインドの魅力!マンゴーシーズン到来!! | インド就職をサポートするメディア Palette | 生活情報から働く人の体験談まで! (palette-in.jp)
太陽のタマゴと宮崎完熟マンゴーの違い | 高級・贅沢グルメ取り寄せ・高級ギフト (easternjade.jp)
マンゴー - Wikipedia
ウルシ科 - Wikipedia
ウルシオール - Wikipedia
ASCII.jp:食べたマンゴーの種を植えてみました
マンゴーの話 (justhpbs.jp)

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