まだ風が強い2月の海岸へ行くと、岩の上には緑色をしたアオサが生え初め、それを食べる小さな貝たちが活動を始めます。
そのなかでも観察しやすく、かわいらしい貝のカラマツガイをご紹介します。
カラマツガイはのの字型をした黄色い卵を岩の上に産み付けることでも有名です。皆さんもどこかで聞いたことがあるかもしれません。
カラマツガイは2㎝ほどの小さな貝です。
食べ物は岩の上に生えているアオサです。
アオサは私たちの目には、ちょびちょびと生えているだけですが、小さなカラマツガイにとってはとても大きく見えるはずです。早春の岩の上はカラマツガイにとって食べ物の森に囲まれている感じになるはずです。
私たちが呼吸をするときは「肺」を使います。
けれど大抵の海の生き物は「肺」ではなく「鰓」を使うのですが、このカラマツガイは「鰓」と「肺」を両方持つ水陸両用の生き物です。
カラマツガイは2センチくらいの小さな貝ですが、よく観察すると楽しい特徴をたくさん持つ貝です。
特徴をつかんで、ぜひ見つけてみてください!
カラマツガイ
動物界
軟体動物門
貝類亜綱
腹足綱
異鰓亜綱
基眼目
カラマツガイ科
カラマツガイは海の迷路を歩く、ちょっと変わった貝
見た目:
- 大きさは2㎝
- 殻はクリーム色と黒の線が放射状に伸びて、中心から輪の模様があり2つが格子のようになっている
- よく見るとゆがんだ楕円形で少し内側にへこんでいるところがある。
- 上から見ると中心がちょっと偏ったところにある
生態:
- 潮間帯上部の海藻が生えた岩上で暮らす
- 藻類を食べる
- 引き潮のときは下方へ、満ち潮のときは上方へ岩の上を這って移動
- 移動距離は15cmほど
- 元の場所に戻る習性がある
- 雌雄同体
- 夏季に岩上に黄色い輪状または「の」の字形の卵塊を産む
豆知識:
- カラマツガイ科の貝は世界に約70種
- 日本には10種ほど生息
- カラマツガイの名前の由来は、殻の模様がカラマツの葉に似ているから
- 殻は薄くて壊れやすい
遊び方:
- カラマツガイの殻を集めて、並べて模様を作る
- カラマツガイの貝の裏側を他の貝と比べてみる
- カラマツガイの殻に絵を描いて、オリジナルの貝殻アートを作る
カラマツガイの肺ビックリ大発見!
えっ!?貝なのに肺って…ありなの?
そうなんです!
カラマツガイは海の生き物なのに、陸のカタツムリと同じように肺で呼吸するんです。
海なのに肺って、どういうこと?
カラマツガイは、潮間帯に生息する貝です。
干潮時には水から出て、岩の上で餌を食べたり移動したりします。
そんな時、水中の酸素じゃ足りませんよね。
そこで、肺を使って空気を呼吸するようになりました。
カラマツガイの肺、どこにあるの?
カラマツガイの肺は、貝殻の右側にある「外套膜腔」という空間の中にあります。
外套膜腔は、体全体を覆う外套膜で囲まれた空間です。
カラマツガイはこの空間で空気を吸ったり吐いたりして、呼吸をしています。
カラマツガイの肺、どんな形?
カラマツガイの肺は、薄い膜でできた袋状の形をしています。
肺の表面には、たくさんの血管が張り巡っています。これらの血管を通して、酸素と二酸化炭素が交換されます。
カラマツガイの肺、どれくらい大きい?
カラマツガイの肺は、貝殻の大きさの半分くらいあります。意外と大きいんです。
カラマツガイの肺、どうやって使うの?
カラマツガイは、外套膜の筋肉を使って、肺に空気を吸ったり吐いたりします。
呼吸孔と呼ばれる穴から空気を出し入れします。
カラマツガイの肺、すごい!
カラマツガイは、海と陸の両方の環境に適応した、とっても不思議な生き物です。
肺を使って空気を呼吸するなんて、まさに進化おそるべし!
カラマツガイの観察の仕方
観察方法
- 生息場所
カラマツガイは、潮間帯の岩場やゴロタ石に生息しています。干潮時に観察するのがおすすめです、干潮時間を調べてから海へ行くと安全に観察できます。
潮干狩りや釣りに最適な潮汐・潮見表カレンダー 潮MieYell(しおみエール)マリンレジャーを応援する潮汐・潮見表カレンダーサイトです。 - 見つけ方
カラマツガイは、殻の表面に突起が並んだ円錐形の貝です。
ガイドブックなどの写真はきれいな色になっていますが、実際には貝に海藻などがついていたりして茶色や濃緑になっていて岩と同化しています。
岩の隙間や海藻の陰などをよく探してみましょう。 - 観察ポイント
- カラマツガイの殻の色や模様を観察しましょう。
地域によって、さまざまな色や模様のカラマツガイが生息しているので違いを見つけましょう。 - カラマツガイの動きを観察しましょう。カラマツガイは、足を使ってゆっくりと移動します。
- カラマツガイの生態を観察しましょう。
カラマツガイは、どのように餌を食べているのか、どのように繁殖しているのかを観察しましょう。 - カラマツガイを観察する際には、これらの点に注意し、自然環境や生態系に配慮しながら観察するようにしましょう。
- カラマツガイの殻の色や模様を観察しましょう。
- 観察ツール
- 虫眼鏡
- ピンセット
- スケッチブック
- カメラ
注意点
- 生態系への影響
カラマツガイは、磯の生態系において重要な役割を果たしています。
観察の際は、岩をひっくり返したり、海藻をむやみに採ったりしないなど、生態系への影響に配慮しましょう。 - 安全
- 潮間帯は、岩の上にノリが生えていてとても滑りやすい場所ので転倒などに注意して観察しましょう。
- 潮の満ち引きにも注意しましょう。観察は干潮前後1時間以内が安全です。
- 日差しが強い場合は、帽子や日焼け止めクリームなどを着用しましょう。
- 熱中症対策として、水分補給をこまめに行いましょう。
- カラマツガイは、地域によって呼び方が異なる場合があるので、詳しい人に確認すると良いでしょう。
観察を楽しむために
- カラマツガイの生態について事前に調べておくと、より深く観察を楽しむことができます。
- スケッチや写真撮影をすることで、貴重な観察の記録を残すことができます。
- 他の観察者と情報交換をすることで、新たな発見があるかもしれません。
参考文献
磯の生き物図鑑 トンボ出版
日本動物大百科 平凡社
カラマツガイ属 - Wikipedia