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お金と利子は恋人?それともライバル?資本市場の真実

お金と利子は恋人?それともライバル?

あなたは、利子と資本市場と聞くとどんなことが思い浮かぶでしょうか?

銀行が利子を取るのが嫌! とか、
利潤を追求する嫌な経営者が出てくる話・・とか
あまり良いイメージが浮かばないかもしれません。

けれど、私たちの身の回りにあるものは「利子」の力を借りてつくられたものがとても多いです。
例えば、家電製品や大量生産の衣類、スマホなどは「利子」の力を借りて作られたケースが多い商品です。

もちろん、住宅ローンやカーローンも身近な利子としておなじみです。

利子は良いイメージはないかもしれませんが、利子があったから便利で安い製品を買うことができたし、大きな買い物をすることができます。利子は経済を活発にするためにとても大切な役割をもっているのです。

そんな「利子」の役割を理解することは、社会の中で動き回る「お金」について知ることができ、さらには自分のお金を守り、増やすこともできます。

ぜひ「資本市場と利子」の関係の理解を深め、生活に役立てていきましょう。

資本市場とは?

まず「資本市場」とはなんのことでしょうか?
資本市場とは企業や政府が資金を調達し、投資家が資金を運用する市場のことで、資本市場の中には株式市場、債券市場、不動産市場などさまざまな市場があります。

つまり「資本市場」とは、お金を貸したい人と借りたい人が出会う場所のことです。
なにかを始めようとするとき、お金がなければ何も始まりません。
まとまったお金を手に入れるために銀行からの借り入れ、株式の発行、社債の発行などのさまざまな手段を足掛かりにして、企業の規模や成長段階、リスク許容度などに合わせて最適な資金調達方法を選択をできる場所が資本市場なのです。

企業が資本市場で資金調達を行うことは社会にとってとても大きな意味があります。
それは、企業が事業を拡大することは、新たな雇用が創出され、それが経済成長に貢献すること、さらに革新的な製品やサービスの開発を促進し、経済全体の生産性を向上させる大きな役割があるからです。

4つの資本市場

企業が資金を調達し、資本家が資金を運用する「資本市場」は、取引される金融商品や取引方法によって、大きく4つに分類されます。

  • 株式市場
    株式の売買が行われる市場。
    企業は株式を発行することで資金を調達し、お金を貸す側である投資家は将来の利益を期待して株式を購入します。
  • 債券市場
    債券の売買が行われる市場。
    政府や企業は債券を発行することで資金を調達し、投資家は定期的な利息収入を得ることができます。
  • 不動産市場
    不動産の売買が行われる市場。
    投資家は、不動産を購入することで家賃収入や値上がり益を得ることができます。
  • デリバティブ市場
    オプションや先物などのデリバティブ取引が行われる市場。
    投資家は、デリバティブを活用することで、ポートフォリオのリスクヘッジや収益の拡大を図ることができます。

このように資本市場には、企業の規模や成長段階、リスク許容度などに合わせて最適な資金調達方法を選択をできるように、さまざまな資金調達方法を用意しています。

資本市場がうまく機能すると、企業は必要な資金を調達し、お金を貸す側の投資家は自身の資金を効率的に運用することができます。資本市場が活発に取引が行われれば、社会全体の生産性が上がり、経済の成長を促進し、私たちの暮らしをより良くさせることができます。

利子とは?

次に、「利子」に注目していきましょう。
「利子」とは、お金を貸す人が、お金を貸すという行為への報酬として受け取るお金です。
逆に、お金を借りる人が、お金を借りる行為に対して支払うお金のことを指します。

「利子」はとても大切な概念ですが、抽象的でイメージしずらいです。

日本では利子を悪いものと考える習慣はありませんが、西洋では長い間禁止されてる国もあったほどです。

利子は難しいニャー

私たちはお金を借りるとき必ず「利子」を支払わなければいけません。
それは、お金は借りたら、借りた分以上のお金を返すのが決まりです。

皆さんも何かモノを借りたとき、ちょっとしたお菓子とか、なにかを添えて返すことはありませんか? あれと一緒です。
逆に、子供のころ友達にマンガを借りたまま返し忘れたことはありませんか? 
貸したけど帰ってこないということは、それがお金だとしても十分あり得ます。
そのため、お金を貸すという危険な行為に、安全料として利子を取るのは当然といえます。

利子はいけないもの?

カトリック教会では「利子」は19世紀になるまで認められていませんでした。
それは聖書で禁止されていたからです。
また、今でもイスラム圏の一部では「利子」は禁止されています。

労働に対してお金をもらうことは批判されることは少ないですが、借金に対して得た「利子」という利益について批判されるのは一体なぜなのでしょうか? 

それは「利子」というものは「借金に対してつくお金の価格」とも言えます。
利子も価格も、何かしらの価値(お金の使用、商品など)に対する対価として支払われる点で同じです。

けれど、一般的に「価格」という言葉は、モノやサービスを購入する際に支払う対価を指しているので、利子の場合は、お金を「借りる」という行為に対する対価であり、モノやサービスの購入とは少し違います。

また、「利子」は、借入金額に一定の割合で計算され、返済時に元金に加えて支払われるものです。 この利子の割合も実際には契約に基づいて計算されます。

つまり、借金に対してプラスアルファを乗せて返却するべきものが「利子」になりますが、利子の金額は人によって、その返却期間によって、また、その借金の額によって大きく異なります。

西洋で「利子」が批判されたのは、お金を持っている人が貧しい人から高額な利子をとって儲けようとする行為を禁止し、同胞が不平等になることを禁じたためです。
「利子」が禁じられていた中世では、物々交換が主な取引方法だったので、お金の貸し借りはそれほど頻繁に行われておらず、利子を取るという概念自体が一般的ではなかったことも批判の大きな理由と考えられます。

商品は目で見て具体的な形があります。
そして労働で得る賃金も実際の動きがあって得るものです。
どちらも実感として理解しやすいものです。けれど利子は具体的な形を持ちません。

お金そのものが「信用」という、はっきりしない概念を持っています。
利子は、その「お金の上につくお金」です。
「利子」はお金そのものより、さらに抽象的でつかみどころがありません。
そのイメージのしずらさもあって「利子」は批判されたのかもしれません。

しかし、利子は経済を大きく成長させる原動力をなっていったため、利子を取ることは多くの国で認められています。

利子が資本市場に与える影響

利子は借りたい人と貸したい人との契約によって決められます。
その決めらる契約は、世の中に設定されている利子率を参考にするため、同じ条件でもその時々によって利子は変わります。

利子率の変動は、資本市場にどのような影響を与えるのでしょうか?

利子の上昇が資本市場に与える影響

  • 投資の抑制
    利子率が上がると、銀行に預けているとより多くの利息を得られるため、投資家はお金を預けておくことを選ぶ可能性が高くなります。これにより、株式や債券などへの投資が減少し、資本市場の活気が失われる可能性があります。
  • 企業の資金調達コストの上昇
    企業が銀行からお金を借りるときには、利子を支払う必要があります。
    利子率が上がると、企業の資金調達コストも上昇するため、投資や事業拡大が難しくなる可能性があります。
  • 債券価格の下落
    債券の価格は、利率と逆の動きをする傾向があります。
    利子率が上がると、新たに発行される債券の利率も上昇するため、以前発行された債券の価値は相対的に下がってしまいます。

利子の低下が資本市場に与える影響

  • 投資の活性化
    利率が下がると、銀行に預けても得られる利息が少なくなってしまうため、投資家はお金を運用しようと考えるようになります。これにより、株式や債券などへの投資が増加し、資本市場が活発になります。
  • 企業の資金調達コストの低下
    利率が下がると、企業の資金調達コストも低下するため、投資や事業拡大がしやすくなります。
  • 債券価格の上昇
    利率が下がると、新たに発行される債券の利率も低下するため、以前発行された債券の価値は相対的に上昇します。

利子率の変動は、企業の投資行動や投資家の投資行動に大きな影響を与え、その影響は経済全体に及ぶため、中央銀行は、経済状況に応じて利子率を調整することで、景気を安定させようとしています。

利子が投資に与える影響

企業や投資家は利益を最大化しようとしています。
そのため「利子」は投資にあたえる影響はとても大きくなります。
簡単に言うと、利子は投資を促進したり抑制したりする役割を担っています。

利子率が投資に与える影響のメカニズム

  • 企業の場合
    • 設備投資
      利子率が低いと、借金をして新しい設備を導入したり、事業を拡大したりすることが容易になります。これは、将来の収益増加が見込まれる場合に、投資を促進する効果があります。
      逆に、利子率が高いと、借入コストが増加するため、投資を躊躇する企業が増え、経済全体としての設備投資が減少しがちです。
    • 研究開発
      新しい製品や技術の開発には多額の費用がかかるため、企業は資金調達を必要とします。利子率が低いと、研究開発への投資が促進され、イノベーションが活発化することが期待されます。
  • 投資家(個人や機関)の場合
    • 債券
      利子率は債券の利回りと密接な関係があります。
      利子率が上昇すると、新たに発行される債券の利回りが上昇するため、投資家にとっては魅力的な投資先となります。
      逆に、利子率が低下すると、債券の利回りは低下し、株式などより高利回りの投資商品に資金が流れる可能性が高まります。
    • 株式
      利子率が低いと、銀行預金などの無リスク資産の利回りが低下するため、投資家はより高いリターンを求めて株式市場に資金を振り向ける傾向があります。
      これは、企業の株価を押し上げる効果をもたらします。

利子率は、企業や投資家の投資行動に大きな影響を与える重要な要素です。一般的には、利子率が低いほど投資は活発化し、経済全体が成長しやすいと考えられています。しかし、その影響は、経済状況やその他の要因によっても大きく左右されます。

利子率が投資に与える影響は、長期的な視点で見るとより複雑になります。
例えば、超低金利が長期化すると、金融機関の収益が悪化し、貸出が抑制される可能性もあります。
また、資産価格の高騰を招き、バブル崩壊のリスクも高まる可能性があります。

利子率政策は、中央銀行が経済を安定させるために重要な手段の一つですが、その効果は必ずしも直ちに現れるとは限りません。

投資と利子は、経済全体に大きな影響を与える重要な要素です。
利子率の変動は、企業の投資行動や個人の消費行動に影響を与え、ひいては経済全体の景気を左右します。

まとめ

資本市場と金利について解説しました。

資本市場は、お金を借りたい人と、貸したい人とが出会う場所です。
借りたい企業の規模、借りたい期間、リスクの許容度などによって、銀行からの借り入れ、株式、または社債など、さまざまな資金調達方法を用意しています。

そこで大きな影響をもたらすのが「利子」です。
利子はお互いの契約によって決められるものですが、契約はその時の利子率を参考に決められます。
利子率は、その国の経済状況の影響を受けて、その時々によって変動しています。

利子率が高いと経済の活発さは弱まり、低いと資金の調達が容易になり経済活動が活発になります。

利子はお金に寄り添って時には恋人のように、時には競い合うライバルのようにいつもお金のそばにいます。お金が動くときは利子も一緒に動くのです。

近年では、グローバル化や金融技術の進歩に伴い、資本市場はますます複雑化・高度化しています。これからも変化し続ける金利や市場を理解するためにも、また自分の資産を守り、増やすためにも、ぜひ経済の知識を身につけてお役立てください。

参考文献

ティモシー・テイラー 経済学入門
この世で一番おもしろいミクロ経済学 ヨラム・バウマン

PR:株式会社レオナビューティー

RP:株式会社イワミズ

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