自分の持っているお金を大切にしたい気持ちは多くの皆さんがお持ちだと思います。
日本の競争力は各種ランキングにおいて軒並みランキングを落としていて、主要先進国からの地位が危うくなっています。国際競争力の低下は賃金の低下につながっているので、最終的には生活水準の低下をもたらす可能性があります。
こんなときは、自分のお金をできるだけ減らさないように守っていかなければいけません。
そのためには、まずお金に対する知識が必要です。
けれど、お金の知識とはなんでしょうか?
お金に対する付き合い方といえば、幼い時から「無駄遣いしないように」とか「貯金をしておきなさい」と言われ続け、使わなかったお金は銀行に貯金すること、お金との付き合い方と言えば、「貯金」で、それ以外のお金を守る手段は分からない、という方も多いかもしれません。
前回は、日本人は投資が苦手なのでそこを意識しながら投資の勉強を始めていきましょう。というお話をしました。ここでは少し進んでお金との付き合い方の一つとして「資産運用」についてわかりやすく解説します。
お金について考えるのは、人によって考え方が違うこと、また、お金を失うことへの恐怖から感情的になりがちです。いざというときに少しでも冷静でいられるようお金に対する知識を増やしておきましょう。
資産運用とはなにか?
資産運用とは、自分の持っているお金や資産(例えば、貯金や不動産など)を投資や貯蓄に使って、将来の利益や収益を得ることを目的とする活動のことです。具体的な例をとしては次のようなものがあります。
- 預金
銀行にお金を預けて利息を得るのも資産運用です。
リスクが少なく安全性が高いですが、得られる利益は比較的少ないです。 - 株式投資
企業の株を購入し、その企業の成長や利益から配当金を受け取ったり、株価が上がった時に売却して利益を得る方法です。リスクが高いですが、高いリターンが期待できる場合もあります。 - 債券投資
国や企業が発行する債券を購入し、一定期間後に元本と利息を受け取る方法です。
株式よりもリスクは低いですが、リターンもそれほど高くないことが多いです。 - 不動産投資
住宅や商業用物件を購入し、賃貸収入や物件の値上がりによる利益を得る方法です。
初期投資が大きく管理が必要ですが、安定した収入源となることがあります。 - 投資信託
多くの投資家から資金を集め、専門家が株式や債券などに分散投資する方法です。
個人で直接投資するよりもリスク分散が図りやすくなります。
このように使う予定のないお金を、金融機関に預けることを「資産運用」ともいえますが、資産運用全体を説明するには少し範囲が狭くなります。一般的につかう「資産運用」という言葉には、金融機関にお金を預けるだけでなく、もう少し狭い意味で使われます。
狭い意味での資産運用とは
使う予定のないお金を金融機関に預けることは、狭い意味での資産運用の一種と言えます。
しかし、厳密な意味での資産運用とは少しニュアンスが異なります。
資産運用とは、お金を増やすことを目的とした活動を指します。
具体的には、株式や投資信託などの金融商品を購入したり、不動産に投資したりすることを指します。一方、銀行へ預ける預金は、お金を安全に保管する手段であり、それ自体で金利収入を得る以外にお金を増やす機能はありません。
つまり、預金は お金を減らさない という点では資産運用の一種と言えますが、積極的に増やす という点では資産運用とは異なると言えます。
下の表に預金と資産運用を比較しました。
項目 | 預金 | 資産運用 |
---|---|---|
目的 | お金の安全な保管 | お金の増加 |
リスク | 低い | 比較的高かい |
リターン | 金利収入 | 投資利益 |
流動性 | 高い | 商品によって異なる |
代表的な商品 | 普通預金、定期預金 | 株式、投資信託、不動産 |
使う予定のないお金を銀行などの預金に預けるのは、次のようなメリットがあります。
- 安全に保管できる:預金は、預金保険制度によって元本1000万円まで保証されています。
- すぐに利用できる:預金は、いつでも引き出すことができます。
- 手数料が安い:預金は、他の資産運用商品に比べて手数料が安いことが多いです。
しかし、預けるだけでお金が増えるわけではないというデメリットもあります。
- 金利が低い:現在の日本では、金利が非常に低いため、預金だけでは十分な資産増加は期待できません。
- インフレリスク:物価上昇(インフレ)が進むと、預金の価値が下がる可能性があります。
このように使う予定のないお金をどのように運用していくのかということは、ご自身の リスク許容度 や 投資目的 によって異なります。
- リスクをできるだけ低く抑えたい、すぐに利用できるお金が必要 という場合は、預金がよいでしょう。
- ある程度のリスクを取ってでも、 お金を増やしたい という場合は、資産運用を検討してみるのもよいでしょう。
狭い意味で「資産運用」という言葉をとらえたときには銀行の預金も「資産運用」の一部になりますが、一般的に「資産運用」というともう少し広い意味に捉えて、株式投資、投資信託、不動産投資などの利益が出ることを期待して使わないお金を預けること、という意味を持ちます。
普通の買い物と資産運用、何が違う?
金融機関に預け「資産運用」も、株や投資信託などの金融商品を買う「買い物」ですが、日常に買いものとは違います。
日常スーパーなどで行う買い物は、商品を買うとその商品を手に入ります。ところが「資産運用」は、お金を支払ってそのお金を元にお金を増やしていく活動です。買い物の場合、買えば商品が手に入ります。「資産運用」の場合は、金融資産としての商品は手に入りますが、その価値が支払った金額よりも下がる、という「お金を支払ったけど損しただけだった」ということが起こります。
このように普通の買い物と資産運用とはいくつか異なる点があります。
目的が大きく異なる
- 買い物: 必要なモノやサービスを 手に入れること が目的
- 資産運用: お金を 増やすこと が目的
時間軸が異なる
- 買い物: すぐに モノやサービスを手にする
- 資産運用: お金を増やすには 中長期的な視点 が必要
リスクの度合いが異なる
- 買い物: 一般的に リスクは低い
- 資産運用: 商品によって リスクは様々
具体的な違いまとめ
項目 | 買い物 | 資産運用 |
---|---|---|
対象 | モノやサービス | 金融商品、不動産など |
支払い | 購入時に代金を支払う | 将来的に利益を得られる可能性がある |
目的 | 必要なモノやサービスを手に入れる | お金を増やす |
満足感 | 購入時に得られる | 利益が出た時に得られる |
リスク | 商品の欠陥など | 損失の可能性がある |
時間軸 | 短期 | 中長期 |
知識 | 不要なものが多い | ある程度必要 |
このように普通の買い物は 今 の生活を豊かにするために、必要なモノやサービスを手に入れる ことで、資産運用は 将来 のために、お金を増やす ことなのです。
どちらも生活において重要な役割を果たしますが、目的や時間軸、リスクなどが大きく異なることを理解しておきましょう。資産運用を考えたときにはご自身のライフプランに合わせて、上手に使い分けていきましょう。
お金を増やすための3つの方法
お金を増やすにはシンプルに考えると3つの方法に分けられます。
- もっている資産を増やす
- 資産を守る
- ある資産を効率的に使う
持っているお金を増やし、無駄に使わずに守っていくことだけしかお金を増やす方法はありません。けれど世の中には資産運用の商品がたくさんあります。その中で自分に合うものを見つけるだけでも簡単ではありません。
世の中には資産運用の商品を紹介している場所、例えば、証券会社の窓口、銀行の窓口、郵便局の窓口、保険会社からなどたくさんあります。自分に合ったものを探すのは簡単ではなので、このようなプロと言われるような人にどんな「資産運用」の商品を買ったらいいのか教えてもらいたくなります。
けれど、ちょっと待ってください。
まったく知識のないまま窓口に行かないでください。
まずは自分で納得してから始めましょう
なぜ、何も分からないまま窓口に行ってはいけないのでしょうか?
それは、お金がいつ、どのくらい必要なのかは人によって本当にさまざまです。人によっては少なすぎるように感じられる額でも他の人にとっては十分なこともあります。だからこそ私たち一人一人が自分の力で自分のための「資産運用」ができるようにならなければいけません。
もちろん金融商品を買うときに専門家の意見を参考にしたり、情報を活用したりすることはあります。けれど自分が納得していなかったり、自分の知識不足を恥じて言いたいことを言えずに言われるがままになったりしがちです。
「資産運用」といっても、特別な知識を必要としているわけではありません。私たちは日常的に商品を買ったり、サービスを受けたりするとき、ある商品の値段をみて、「適切だな・・」と感じたり、「高すぎる」と感じたりすることができますよね。そのような感じ方を投資の商品についてもできるようになろう、ということです。あまりにも高額な値がついていたら「買うのはやめよう」と自分で判断できますし、詐欺に引っかかってお金を巻き上げられることを防げます。
資産運用をしようと思ったらまずイメージしたいのが次の3つです。
- 資産運用の目的を明確にする
なぜ資産運用をしたいと思ったのかイメージしておきましょう。そうすればいつまでにどのくらい用意すればいいのかがわかってきます。
資産運用には「時間」の感覚が大切です。先のことは分からないし、考える必要ないと思う方もいらっしゃいますが、資産運用の時はちょっと思いを馳せてください。必要なのはいつなのか? それをイメージすることができると、適切な投資の商品を選ぶことが出来ます。 - リスクを理解する
投資とは、「お金が減るリスクがあるからその代償として、増えるチャンスを得ることが出来る」ということです。これが非常に大切な考えからになります。
購入前に十分検討したとしても、減るときは減ります。まさか自分のお金が減るという不愉快なことが自分の身に起こるなんて考えたくもないので、イメージを難しくさせます。けれど減るときは減ります。なので自分の生活費はどのくらい必要で余裕資金はいくらなのか把握してから「資産管理」を始めましょう。 - 感情に流されない
資産運用はときに感情的になりがちです。お金が増えればうれしいですし、減れば悲しいのはみんな同じです。けれど値動きに一喜一憂していては身が持ちません。また親切にしてくれた専門家の言うとおりにしたらお金が減ることもよくあることです。なるべく冷静でいられるためにも、余裕資産で行い、自分の責任で判断できるようにすることが大切です。
まとめ
資産運用とはなにか解説しました。
資産運用とは使う予定のないお金を増やす活動です。銀行の預金、株式、債券、投資信託など様々な金融商品があります。
資産運用は普通の買い物とは、その目的、時間軸、リスクが違います。
資産運用には、まずその目的をはっきりもち、未来のイメージが持てるようにします。投資には時間の感覚が非常に大切です。
そして、リスクを理解します。リスクがあるから得られるのが投資活動です。
最後に感情をコントロールすることが大切です。お金が絡むので感情的にならないのが難しいものですが、自分の生活費から、いくらまでなら余裕があるのかしれば平静を保つことができます。
少しづつ「資産運用」のことを知って、自分で判断できるものを増やしていきましょう。
参考文献
お金以前 土屋剛俊
「金融リテラシー」って何? 最低限身に付けておきたいお金の知識と判断力 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)
経済学入門 ティモシー・テイラー