ぽれぽれ経済学

リスクをへらすために

リスクを減らすために

前回まで「資産運用」とはなにか、ということについて解説しました。

資産運用とは、お金を増やす活動のことでした。手持ちのお金をなんらかの方法で増やし、守っていくことです。けれどその方法がたくさんあるので、自分にとってなにが必要なのか、どうやってそれを選ぶのか考えるのは予想以上に大変なことです。

詐欺に騙されたり、高額すぎるものを選ばないために、自分を守るために知識を身につけてから行動しましょう。

ここでは「資産運用」についてのリスクについてゆっくり解説していきます。

リスクを知りましょう

資産運用には、必ずリスクが伴います。

資産運用の「リスク」とは、その資産によって得られる平均的な収益率に対して、実際の収益率がどのくらい上下するのかが分からないことを指します。つまり「上がるのか下がるのか確実なことはわからない」分かればリスクはないけれど、分からないからそれがリスクになります。

つまり、「投資によって得られる収益は不確実」ということです。投資の目的は、収益を増やすことにあります。しかし、投資対象の価格は変動するため、それによって収益が変動してしまいます。昨日まで収益が見込まれていたのに、今日になったら収益が見込めない、ということが起きます。つまり、投資によって得られる収益は、大きくなったり小さくなったりするのです。

例えば、日本国債は非常にリスクの低い商品です。ほぼ確実に期待通りの収益が得られます。それとは反対に新技術を開発している企業に投資するのは、リスクがずっと大きくなります。技術開発が大成功して予想もしなかった収益になることもありますが、大失敗に終わる可能性も大きいのでリスクは大きいと言えます。

他の条件が同じなら、変動の少ないリスクの低いほうを選ぶ方がいいです。

資産運用の5つのリスク

資産運用のリスクには、大きく5つの種類があります。

  • 株価変動リスク
    株式の価格変動によるリスクです。株式の価格は、景気や企業業績、政治情勢などさまざまな要因によって変動します。株価が下落すると、投資した資金が減ることになります。
  • 信用リスク
    企業の信用力によるリスクです。株式や債券などを発行している企業が倒産したり債務不履行に陥ったりすると、投資した資金が回収できなくなる可能性があります。
  • 流動性リスク
    流動性とは、投資対象を現金に換えやすいかどうかを表す言葉です。銀行の預金はとても流動的です。いつでも好きな時に現金で引き出すことが出来ます。けれど不動産は流動的ではありません。不動産を売って現金にするためには、それなりの時間と労力をかけなければいけないからです。基本的に、リスクや収益が同じなら、流動性が高い資産を選んだ方がいいのです。
  • 金利変動リスク
    金利の変動によるリスクです。債券の価格は、金利水準に反比例して変動します。金利が上昇すると、債券の価格が下落し、投資した資金が減ることになります。
  • 為替変動リスク
    為替レートの変動によるリスクです。外国株式や外国債券などの投資対象は、為替レートの変動によって価格が変動します。為替レートが円安になると、投資した資産の価値が下落することになります。

投資のリスクを理解することは、投資を行う上で非常に重要です。リスクを理解せずに投資を行うと、損失を被る可能性があります。投資を行う際には、リスクを十分に理解した上で、自身の投資目的やリスク許容度に合った投資対象を選ぶことが大切です。

リスクを減らすための3つの方法

投資のリスクを減らすためには3つの方法があります。

分散投資
投資先をいくつかに分けることでリスクを軽減できます。いろいろな種類の投資を少しづつ組み合わせて、全体としてのリスクを減らすのです。もしもある投資先の事業が悪くなった時、他の投資先が良ければ全体的にカバーすることが出来ます。この分散投資を簡単にできるのが、投資信託です。これは複数の株や債券を一つにまとめた金融商品なので、手軽にリスクを分散することが出来ます。

長期投資
資産運用する期間は長ければ長いほど良いです。株式市場では短期的にはリスクが高くなりますが、長期的にみると比較的堅実です。また複利の効果も期待できます。

自分のとれるリスクを知る
働いているうちは、投資した資金が減ってしまったとしてもまた稼ぎ出すことができるのでリスクが取れますが、退職後は収入が減るのでリスクの高いものは避けた方がいいでしょう。

資産運用と人生

自分がどのように資産運用していこうかと考えることは、自分の人生をこれからどうしようかと考えることと同じです。

今、自分は人生でどのあたりにいるのか、家族構成はどうなっているのか、これから必要になる出費はいくらになりそうなのか、今の資産はどのくらいあって、遺産相続の可能性はどのくらいか、今の収入はどのくらいあって、将来はどのくらいになりそうなのか? 
これらのことを一つ一つ考えて自分が取れるリスクを考えてみます。いくら入る予定でいくら必要なのかが分かれば、なにをどう投資するのか決まってきます。資産運用とは自分がこれからどんな人生を送りたいか、を決めていくことなのです。

金融広報中央委員会のウェブサイトの「知るポルト」というサイトがあります。暮らしに役立つお金に知恵や情報が載っています。またライフプランシュミレーションといった自分の年収や生活費などを入力して自分の生活設計を計算してくれるページもありますので、何から手を付けていいか分からない方にお勧めします。

暮らしに役立つ身近なお金の知恵・知識情報サイト ─ 知るぽると:金融広報中央委員会 (shiruporuto.jp)

まとめ

資産運用のリスクについて解説しました。
資産運用には様々なリスクがあります。企業の業績が悪くなったり、社会情勢が悪くなれば株の価格がさがり、資産が減ってしまう可能性があります。不動産は売りたいとき、買い手がつくまでに時間と労力がかかります。現金化に時間がかかる資産は、流動性が低いのでリスクが高いです。収益率が同じなら現金化しやすい「流動性の高い」ものを選びます。また金利や為替は変動が読めずリスクが高いです。

これらのリスクを抑えるために、自分がどのくらいリスクが取れるのかを見つめ、長期運用できるもの、リスクを分散できるものを選ぶことが大切でした。

人生の早い時点でリスクをとれば、複利の力を借りて老後の資産をつくることができます。50代や60代の人でもまだこれから20年や30年は生きるのです。これだけの時間があれば複利の力で増やすことは十分可能です。

投資のリスクを完全になくすことは不可能ですが、リスクを理解し、適切な対策を講じることで、損失を抑えることができるのです。

次回は「複利」の力について見ていきます。お楽しみに!

参考文献

経済学入門 ティモシー・テイラー
難しいことは分かりませんがお金の増やし方を教えてください 山崎努
お金以前 土屋剛俊
貧乏国ニッポン 加谷佳一
「金融リテラシー」って何? 最低限身に付けておきたいお金の知識と判断力 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)

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