ぽれぽれ経済学

資本市場とはなんですか?

資本主義とは何ですか

財市場と労働市場とみてきました。
最後に「資本市場」について見ていきたいと思います。
この3つの市場はおたがいに密接に関係して、経済全体に影響を与えています。市場のしくみを知ることは、社会の中のお金の役割を理解することだけではなく、自分のお金を守るためにも大切です、ぜひ押さえておきましょう。

資本市場とは

資本市場とは、企業や政府が資金を調達し、投資家が資金を運用する市場です。 具体的には、株式市場、債券市場、不動産市場などが含まれます。

簡単に言うと「資本市場」とは、お金を貸したい人と借りたい人が出会う場所です。なにかを始めようとするとき、お金がなければ何も始まりません。まとまったお金を足掛かりにして商売を始めるというきっかけづくりの場になっています。

資本市場の役割

資本市場では企業の活動を後押しするために、次のような役割を果たしています。

  • 資金調達
    企業や政府は、株式や債券を発行することで、必要な資金を調達することができます。
  • 資金配分
    投資家は、企業や政府の発行する証券を購入することで、自身の資金を効率的に運用することができます。
  • リスク管理
    資本市場は、企業や政府、投資家にとって、リスクを管理する手段を提供します。
  • 経済成長
    資本市場の活性化は、企業の投資活動や経済全体の成長を支える重要な役割を果たします。

資本市場の種類

資本市場には、大きく分けて取引される金融商品や取引方法によって、4つに分類されます。

  • 株式市場
    株式の売買が行われる市場。
    企業は株式を発行することで資金を調達し、投資家は将来の利益を期待して株式を購入します。
  • 債券市場
    債券の売買が行われる市場。
    政府や企業は債券を発行することで資金を調達し、投資家は定期的な利息収入を得ることができます。
  • 不動産市場
    不動産の売買が行われる市場。
    投資家は、不動産を購入することで家賃収入や値上がり益を得ることができます。
  • デリバティブ市場
    オプションや先物などのデリバティブ取引が行われる市場。
    投資家は、デリバティブを活用することで、ポートフォリオのリスクヘッジや収益の拡大を図ることができます。

資本市場の重要性

資本市場は、現代経済において重要な役割を果たしています。
資本市場がうまく機能することで、企業は必要な資金を調達し、投資家は自身の資金を効率的に運用することができます。
また、資本市場の活性化は、企業の投資活動や経済全体の成長を促進します。

資本市場と利子

資本市場は企業が資金調達する場でしたが、そこで生まれたのが「利子」です。

利子はとても大切な概念なのですが、抽象的でイメージしずらいです。日本では利子を悪いものと考える習慣はありませんが、西洋では長い間禁止されてる国がありました。

分かりずらい「利子」ですが、この「利子」によって世の中のお金が回っています。ちなみに出回っているお金のほとんどは、この資本市場の中を回っています。

利子は難しいニャー

私たちはお金を借りるとき必ず「利子」を取られます。お金を借りたら借りた分以上のお金を返さなければいけません。

皆さんも何かモノを借りたとき、ちょっとしたお菓子とか、なにかを添えて返すことはありませんか? あれと一緒です。
もちろん逆に、子供のころ友達にマンガを借りたまま返し忘れたことはありませんか? 貸したけど帰ってこないことは、大人になっても頻繁にあり得るので、安全料として利子を取るのは当然といえます。

カトリック教会では「利子」は19世紀になるまで認められていませんでした。それは聖書で禁止されていたからです。
また、今でもイスラム圏の一部では「利子」は禁止されています。労働に対してお金をもらうことは批判されることは少ないですが、借金に対して得た「利子」という利益については批判されるのはなぜなのでしょうか? 

「利子」とは借金に対してつく価格とも言えます。
つまり、利子は、商品についている価格と同じものです。
西洋で利子が批判されるのは「聖書にそう書いてあるから」ということもありますが、一方で利子は「イメージしにくい」ということもあります。

商品は目で見て具体的な形があります。
そして労働で得る賃金も実際の動きがあって得るものです。
どちらも実感として理解しやすいものです。
けれど利子は具体的な形を持ちません。

お金そのものが「信用」という、はっきりしない概念を持ち、利子は、その「お金の上につくお金」です。「利子」はお金そのものより、さらに抽象的でつかみどころがありません。

利子は分かりづらいですが、事業を始めたい人がだれでも十分にお金を持っているわけではありません。利子をつけてもお金を貸して、やりたい事業を始めてもらう、という仕組みによって多くの人の暮らしが豊かになりました。

今でも社会で大切な役目を果たしている「利子」をしっかり理解しておきましょう。

利子とは

お金を借りる対価として支払われる金銭のことです。金利とも呼ばれます。

金利はいつも一定ではなく変動します。その変動の値は、大きく3つの要素によって決まります。

  • 経済状況
    経済が好調であれば、企業の資金需要が高まり、金利は上昇します。
    逆に、経済が低迷であれば、企業の資金需要が低くなり、金利は低下します。
  • 金融政策
    中央銀行は、金融政策を通じて金利を操作することができます。
    金利を上昇させることで、景気過熱を抑え、金利を低下させることで、景気回復を促します。
  • リスク
    借手の信用リスクが高い場合は、金利が高くなります。
    逆に、信用リスクが低い場合は、金利は低くなります。

資本市場と利子の関係

  • 金利上昇の影響
    金利が上昇すると、企業の資金調達コストが高くなります。
    そのため、企業は設備投資や雇用を抑制し、経済活動が鈍化します。
    また、金利上昇は、債券の価格下落を招きます。
  • 金利低下の影響
    金利が低下すると、企業の資金調達コストが低くなります。
    そのため、企業は設備投資や雇用を増やし、経済活動が活発化します。
    また、金利低下は、債券の価格上昇を招きます。
  • 株式市場への影響
    金利が上昇すると、株式市場は下落する傾向があります。
    これは、企業の収益悪化が懸念されるためです。
    逆に、金利が低下すると、株式市場は上昇する傾向があります。
    これは、企業の収益増加が期待されるためです。

資本市場と利子は相互に影響を与え合う関係にあります。
利子率の変動は企業や政府の資金調達コスト、投資家のリターン、債券価格、さらには資本市場全体の動向に大きな影響を及ぼします。

資本市場の投資とは

そして、利子または金利に関係の深いのが「投資」です。
みなさんは「投資」という言葉は、もうおなじみかもしれません。

私たちが普通「投資」と言えば、株や国債を利益を見込んで買うこと(お金を貸し出すこと)です。投資する人が企業にお金を「供給」します。下の赤い線になります。

投資したい人、投資する企業 投資という言葉は2つの意味を持つ

そして、混乱しやすいのですが、企業が機械や工場を建てることもまた「投資」と言ったりします(黄色い線)。

両方の投資も、お金を出してリターンを得る、という部分については一緒ですが、この2つには大きな違いがあります。

赤い矢印では、需要はお金を貸して欲しい側の企業になり、供給はお金を貸して利益を得たい人々です。黄色い矢印では、企業が機械や工場を買うことを「投資」と呼んでいます。

どちらも「投資」という言葉ですが、供給者側としての「投資」と需要側としての「投資」の両方に、同じ「投資」という言葉が使われているので分かりにくくなっています。こうした混乱を避けるために、ここでは資本の供給を「金融投資」と呼び、企業が工場を買うことなどのことを「物的投資」と呼んで区別します。

資本市場の供給は家計・需要は借りたい人

資本市場も財市場や労働市場と同じように需要と供給があります。

資本市場のしくみ

資本市場の供給は、お金を貯蓄している人つまり「家計」です。
企業も貯蓄していますが、企業は株主つまり「家計」が所有しているものなので企業の貯蓄も「家計」のものと考えます。資本市場の供給とは、家計が供給する金融資本の量(人々の貯蓄)と、供給したことで受け取れる利益の関係です。

逆に資本市場の需要は、お金を借りたい「企業」を指します。
資本市場の需要とは、お金を借りたい企業の量と、それを利子をつけて返却するお金の関係です。

例えば、返さなければいけないお金が少なければ、つまり、金利が低ければちょっとお金を借りて大きな買い物でもしようか、と私たち個人がなりやすいように企、業も金利が低ければ、ちょっと新しい工場でも建設して収入を増やそうか、ということになりやすいという関係になっています。

まとめ

資本市場について解説しました。
「利子」は、お金を借りるときに必要な割り増し分
また「投資」は、企業が工場を建設するなどの利益を見込んで新しい買い物をするときに使う場合と、お金を貸して利益を得たい人がお金を貸すことの2つの意味がありました。

資本市場には「家計という供給者」「お金を借りたい企業」の関係で、そこに利子が上乗せされお金が循環していく場所のことでした。

資本市場の考え方は抽象的で分かりずらいものが多いですが、お金のほとんどが資本市場に流れています。

近年では、グローバル化や金融技術の進歩に伴い、資本市場はますます複雑化・高度化しています。資本市場のしくみを理解することは、経済の動向とその先を予想するために大切な知識です。

参考文献

ティモシー・テイラー 経済学入門
この世で一番おもしろいミクロ経済学 ヨラム・バウマン

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