ぽれぽれ経済学

安全に資産を増やす3つの方法

資産を安全に増やすには

前回まで資産形成のリスク、流動性、時間や収益率について解説してきました。

資産形成につかう金融商品は、一つ一つすべてにリスクがありました。また経済全体に起こるリスクもあります。できるだけリスクを低くするには、10年や20年という長い時間をかけて行うこと、それといざというときに現金にしやすいかどうかを理解しておくことを見てきました。

ここでは、資産形成につかう比較的安全な「銀行預金」「定期預金」「個人向け国債」の3つをリスクとリターンに注目して比較してみます。

どこにお金を預けたら良いのですか?

資産形成は、まずは手持ちのお金をどこかに預けて運用することから始まります。

その運用によって収益が生まれれば、資産運用に成功したことになります。
逆に、初め用意したお金が少なくなってしまったら資産運用は失敗です。

資産運用の方法は本当にたくさんあって、どれが自分にとっていいのか分かりません。古くからある商品から最新式の複雑な計算式を元にしているものや、デジタルを駆使したもの、リーマンショックを引き起こしたものはリスクの高い商品を小分けしてリスクを分かりにくくしたものだったことは有名です。

ここではまず、基本的な資産運用に使える身近でわかりやすくて、比較的安全なものから見ていきましょう。

普通預金はきわめて安全

資産形成の入り口は、銀行の普通預金です。
普通預金はいつでも好きな時にお金を引き出すことができます。日本にはATMがたくさんあるのでお財布のように使いたいときに引き出して使うこともできるので便利ですね。また普通預金は預金保険の制度が国から定められていて1000万円までなら銀行が破綻しても保護されます。

けれどデメリットもあります。
銀行の金利はとても低くく2023年9月現在普通預金の金利は0,001%程度と非常に低く設定されています。そのうえ僅かについた金利から20%の税金が引かれています。ATMを使う場合時間によっては手数料がかかりますし1000万以上の預金は保護の対象ではないので元本割れする可能性はあります。

普通預金は、生活費や急な出費に備えた資金を預けておくのに適した金融商品です。
金利が低く、銀行が破綻したときには限度額以上は元本割れのリスクがあることを理解した上で、利用しましょう。

定期預金

次に安全なのは定期預金です。
定期預金とは、はじめに預け入れ期間を決めて行う預金のことです。数か月から、1年、2年、3年後など、満期日まで基本的に引出しができませんが、一定限度まで元本が保証され、普通預金に比べて金利が高く、収益性の高い預金です。

定期預金のデメリットは、途中で解約すると、金利が普通預金の金利と同じくらい低くなってしまいます。定期預金はお金に縛りがあるので流動性は高くありません。

定期預金は普通預金より高い金利で預けられますが、途中で計画が変わって解約してしまうと、普通預金と同じ金額の利息しかもらえなくなる可能性があります。なので預入期間を選ぶときには将来の予定を、例えば1年後に車を買い替えるための資金とか5年後の子供の学費とかイメージして購入するようにすると良いでしょう。

個人向け国債

日本の個人向け国債とは、日本国政府が発行する国債のうち、個人向けに販売されているものをいいます。個人向け国債は、1万円から購入することができ、満期まで元本割れすることはありません。利子は年2回支払われ、元本は満期になると戻ってきます。

2023年9月現在、個人向け国債には以下の3つのタイプがあります。

  • 変動10年:半年ごとに適用利率が改定されます。満期は10年です。
  • 固定5年:発行時に設定された利率が満期まで変わりません。満期は5年です。
  • 固定3年:発行時に設定された利率が満期まで変わりません。満期は3年です。

個人向け国債は、国が保証しているので元本割れすることはありません。購入してから1年経過した後は、いつでも中途換金ができます。直近1年分の利子は差し引かれますが、満期前でも元本割れすることなく換金可能です。

国債のデメリットは、もし固定金利のものを買った場合、世の中の物価が上がって金利が上昇したとしても、もっている国債の金利が上がらないので相場より安い金利で我慢しなければいけません。それと金利には約20%の税金がかかることがデメリットになるでしょう。

個人向け国債は、元本割れのリスクがなく、低リスクで安定した収入が得られる金融商品です。
また、1万円から購入できるため、少額から始めることができます。

ただし、金利は変動するため、利回りが低下する可能性があることには注意が必要です。また、利子は非課税ではないため、利息収入に対しては税金がかかります。

個人向け国債の購入を検討する場合は、定期預金と同じようにいつどのくらいのお金が必要になるのか、はっきり決まっている場合利用するといいでしょう。強制的に貯めておく気持ちで購入して、必要な時にさっと準備できていると思うと安心できます。

まとめ

資産形成につかう比較的安全な「普通預金」「定期預金」「個人向け国債」を解説しました。

日常便利に使える銀行の普通預金ですが、利子はほんのわずかなので、長い期間を考えた資産形成には向いていません。

「定期預金」や「個人向け国債」の方が金利が高いので、しばらく使い道のないお金や、まとまったお金が将来必要になりそうなときは普通預金から「定期預金」や「個人向け国債」にお金を分けておくことで使い込みを防止するために利用するといいでしょう。

参考文献

経済学入門 ティモシー・テイラー
個人向け国債 - Wikipedia
定期預金 | 一般社団法人 全国銀行協会 (zenginkyo.or.jp)

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