
経済学なんて何から始めたらいいのかわからないニャー
まずは、経済学の本編に行く前に、まず経済学的な考え方のベースを見てきます。日常生活にも役立つのでぜひ押さえておきましょう!
- ものごとにはトレードオフがある
- 利己的な行動が社会の秩序をつくる
- あらゆるコストは機会費用である
- 価格を決めるのは生産者ではなく市場である
ものごとにはトレードオフがある
経済学的な考え方をするためには、まず「トレードオフ」を押さえておきましょう。「トレードオフ」とは、日本語で言えば「こちらを立てるとあちらが立たず」のことです。何かを選択したら、別の何かは失われることを指します。
これは直感的にわかりやすいと思います。
例えば、200円出してアイスを買ったら、その200円はもうほかの買い物に使えません。あたりまえですよね?
そして例えば、政府の政策でよくこんな問題があります。
政府は新しい政策のために歳入を増やすことにしました。このとき財源を個人の税金で賄うのか?それとも企業の法人税で賄うべきでしょうか?
この問題を経済学者がトレードオフを意識して考えるとこんな感じになります。
もし、法人税を引き上げると企業はそのお金をねん出するために、商品価格に上乗せするかもしれません。あるいはボーナスを減らしたり、株主への配当を減らしたりするかもしれません。そして結局、「どちらにしても個人が痛みを受けることになる」と考えます。
政府が税金をどこから取るのか? ということよりも、その税金はだれの懐から出ているのか、より本質的なことに注目するのが、経済学の視点になります。
利己的な行動が社会の秩序をつくる
みんなが自分のことを一番に考えて行動すると、社会に調和が生まれ安定する。アダム・スミスの「神の見えざる手」から始まった考え方です。
例えば
勉強するとゲームを買ってもらえるから勉強に励む
売り上げを伸ばすためにいい製品をつくると、使う人が便利な生活になる
といったような場合がそれにあたります。しかし現実にはそれだけで人々の生活が安定するわけではありません。けれど利己心が人を動かす原動力になることは間違えありません。
例えば
みんなにエネルギーの節約をしてもらいたいとき、経済学者ならこのようなアドバイスをします。有名な女優さんを使ったコマーシャルを流すより、電気を使ったときに税金をかければ、みんなの使う量が減るでしょう。もしも太陽光発電の導入を増やしたい場合は補助金や減税をすればみんな導入に前向きになるでしょう。
もちろんいつもうまくいく場合ばかりではありませんが、すくなくとも人々が行動を起こすきっかけにはなるはずです。

あらゆるコストは機会費用である
なにかを選ぶことは、何かを捨てることです。
なにかを選んだとにに、逆の選ばれなかった方を、経済学用語で「機会費用」と呼びます。
1番のトレードオフと同じ考え方です。
例えば、1回アルバイトを休んで友達とカフェでおしゃべりしたとします。このときアルバイトに行っていたら4000円がもらえるとして、カフェ代が1500円になりました。
「機会費用」とは、このときに得られたはずの4000円とカフェでかかった1500円をプラスした5500円になります。カフェでお話しする時間は5500円の価値があるのか?ないのか? そのコストに注目するのです。
価格を決めるのは生産者ではなく市場である

モノの値段って作った人が決めるんじゃないにゃー?
スーパーに売っている商品の値段は誰が決めていると思いますか? 商品をつくった会社の人たちが決めた値段だったり、農家さんがその手間賃を考えて決めた値段だって考えていませんか?
実は、商品をつくった会社に人たちや農家の人たちはできるだけ多くのお金を取ろうとしています。彼らがその値段にしたのは、そうせざるを得ない、世の中の「需要と供給」の関係があるからその値段にしたのです。
この「需要と供給」という関係については次回以降くわしくみていきます。
まとめ
私たちはほしいものすべてを手に入れることはできません。何かを手に入れれば、何かを捨てることになるからです。
戦後の日本のようにモノが何もなくて、食べるものがなくて餓死しそうな時代なら、必要なモノは食べ物だったり、それを運ぶ道だったりはっきりとわかりますが、現在のように人々の欲望が多様化した時代には「何を・どのように・誰のために」生産するのかという判断を、上手に調整していくことがとても大切です。
参考文献
経済学入門 ティモシー・テイラー かんき出版